ビジネスわかったランド (経理)

現金、手形等の管理

小切手の種類と使い分けは
 小切手とは、一定の金額の支払いを約束する有価証券であり、取扱いは小切手法等で定められている。小切手としてその役割を果たすためには、いくつかの要件を満たすことが必要となる。

<< 小切手の要件と取引の流れ >>

要件を満たしてこそ小切手として使用可能
小切手として成立するためには、下図の[1]~[6]のような小切手法上の要件が必要である。
統一小切手用紙では、小切手金額、振出日、振出人の署名以外はあらかじめ印刷されているが、これらの要件を欠く小切手は無効となる(ただし、実務上は振出日の記載がなくても銀行は支払いに応じる)だけでなく、事故の原因にもなり得るので注意を要する。


こんなふうに取引はなされる
1.まず、振出人(要件[6])は、自己が資金を預けている金融機関を支払人(要件[3])として小切手(要件[1])を振り出す
2.次に、持参人が呈示期間内(振出日=要件[5]=後10日以内)に小切手を支払人に呈示する
3.最後に、支払人は、委託文句(要件[2])に従い小切手金額の支払いを行なう。
なお、小切手の受取人が直接支払人に持参する方法よりも、自己の取引銀行に取立てを依頼し、取引銀行が手形交換所を通じて支払人に取り立てる方法が一般的である。

小切手使用上のルール
小切手の役割を有効なものにするためには、前述の小切手要件を満たすことが必要だが、使用上では法的に次のようなルールがある。
1.支払呈示期間は、振出日後10日以内(最終日が銀行休業日の場合は次の営業日まで)
2.小切手の呈示があれば、直ちに支払わねばならない
3.振出人は、呈示期間内に支払人の当座預金に資金を準備しなければならない

<< 小切手の種類 >>

小切手の種類には、次のようなものがある。

振出日(要件[5])による分類
1.通常の小切手=通常、実際の振出日を振出日とするもの
2.先日付小切手=実際の振出日ではなく将来のある日を振出日としたもの
これらの小切手は、実務上も多用されているが、先日付小切手の受取りは、振出人の経済状態に疑義のある場合もあるので、注意を要する。

振出人(要件[6])と支払人(要件[3])の関係による分類
1.預金小切手=銀行などの金融機関が自己を支払人として振り出すもの
2.送金小切手=振出人となる銀行が自行の他店舗や他行を支払人として振り出すもの
預金小切手は、銀行が振出人であるため支払いが確実で安全性が高いといえる。このため信用力のない場合や高額取引で利用される。
なお、預金小切手と送金小切手を総称して自己宛小切手という。

小切手の譲渡制限による分類
1.持参人払式小切手=小切手を持参した誰もが支払呈示でき、支払いを受けられるもの
2.記名式小切手=小切手上で受取人が指定されているもの
3.指図式小切手=小切手上で受取人が本人またはその指図人に限られているもの
この分類は、委託文句(要件[2])、すなわち支払人が誰に支払うのかという点に着目した分類である。しかし、小切手は、換金までの期間が短く、譲渡が頻繁に行なわれるとは考えにくいため、持参人払式小切手が広く用いられる。

支払方法による分類
1.線引なしの小切手=支払銀行は持参人が誰であっても支払えるもの
2.一般線引小切手=支払銀行と取引のある者(直接持参の場合)か小切手を呈示した取引銀行(手形交換所経由の場合)に対してしか支払いをできないもの
3.特定線引小切手=支払銀行が線引きされた銀行に対してしか支払いをできないもの
通常、一般線引小切手が最も多用されるが、これは、安全性も高く受取人の側からも便宜性があるためと考えられる。


著者
樫本尚彦(公認会計士)
2012年6月末現在の法令等に基づいています。