ビジネスわかったランド (経理)

固定資産等の管理

リース取引のデメリットは?

リースを利用することによって、企業はさまざまなメリットを受けることができますが、その一方では、次のようなデメリットもみられます。しかし、それ以上に享受するメリットの方が大きいといえるでしょう。


(1)中途解約ができない
ファイナンス・リース契約では、リース期間の中途で契約を解除することができません。このためリース物件が不要になってもユーザーはリース料を期間終了まで支払い続けるか、残リース料相当額の損害金を支払って契約を解除することになります。
これは、リース会社が物件代金の全額をサプライヤーに支払い、その金額をリース期間中で回収するようにリース料が算定されているためで、それがファイナンス・リース取引の特徴だといえます。


(2)リース料は固定である
契約で定められたリース料は物件の使用料として、リース期間中、変動することはありません。
リース料は、取得価額、資金調達コスト、固定資産税、保険料、管理費などで構成されていますが、それぞれの要素を分解してユーザーに明示することはありません。また、リース期間中に市場金利が変動しても、リース料を変更することはありません。
したがって、期間中に市場金利が低下した場合は、ユーザーにとっては不利と感じる場合もあります。逆に、金利が上昇してもリース料が上がることはありませんから、金利が上昇している局面では、リース料が固定であることはメリットにもなります。


(3)借入れと比較して割高である
企業が金融機関から設備資金の融資を受けたときには、企業は、融資額の元本(取得価額)と金利を返済します。
一方、リース料には、取得価額と資金調達コストのほかに、税金、保険料などが含まれています。単純に比較すれば、表面的にはリース料の方が高くなり、ユーザーにとっては割高感があるかもしれません。


(4)リース会社から物件の保守・修繕が受けられない
自動車を対象としたメンテナンス・リース契約を除いて、リース物件の保守・修繕は、通常、ユーザーとサプライヤーとの保守契約にもとづいて行われます。
これは、リース料には保守料などが含まれていないことと、ユーザーが行う方が効率的であることなどがその理由ですが、この点に不満を感じるユーザーもみられます。


(5)リース期間が長すぎる
リース契約では、リース期間は物件の耐用年数にもとづいて決められるために、比較的長期になります。ユーザーは、耐用年数よりも短い期間で機械設備などを使用できますが、それでも商品サイクルがリース期間よりも短い場合もあります。
たしかにリースを利用すれば、導入した設備の陳腐化というリスクを軽減できますが、完全にそのリスクを回避することはできません。この点は、オペレーティング・リース取引のニーズが高まってくる理由になります。


(6)所有による満足が得られない
近年では、設備に対する所有意識はかつてよりも薄れ、所有による満足を求める企業は少ないと思われますが、リース期間終了後に「物件処分益を享受できない」ことを不満と感じる企業もみられます。


著者
芥川  基(弁護士)
2012年6月末現在の法令等に基づいています。