ビジネスわかったランド (経理)

売上、売掛金の管理

売上と利益の関係(4)──マッサージチェアを何台売れば黒字になるのか

(問題)
あなたは大手電気メーカーでマーケティングを担当しており、このたびマッサージチェアの担当者となりました。消費者へのインタビューや家電量販店などの調査を行い、製作コストを検討したところ、次のような販売価格と製作費を見積もることができました。

販売価格:40万円
製作価格:20万円
マッサージチェアを開発するためにかかる費用:5億円

このビジネスを黒字にするためには、マッサージチェアを何台販売すればいいでしょうか?

(実際のビジネスでは製品の販売により、開発コスト以外にも営業マンの人件費等の販売コストを回収しなければなりませんが、ここでは問題を単純にするために、販売コストは考慮しないこととします)

「売上と利益の関係(3)」までは小売・卸売業という設定のため、1商品あたりの仕入コストだけを考えていましたが、本項ではメーカーという設定のため、1台あたりの製作コストに加えて、その製品を開発するためのコストをどのように回収するかということも考えなければなりません。

この問題の答えを出すために、マッサージチェア1台あたりの利益と、何台販売すれば開発費を回収することができるかを計算してみましょう。

1.マッサージチェア1台あたりの販売利益
40万円-20万円=20万円

2.開発費の回収にかかる台数
5億円÷20万円=2,500台

今回の問題では5億円の開発費を回収するために2500台のマッサージチェアを販売する必要があります。2500台販売した時点でちょうど損益が0になりますので、問題4の答えとなる黒字になる販売台数は2501台となります。

新製品の発売時には1台あたりの製作コストに加えて、その製品を開発するためにかかったコストも回収しなければなりません。今回の説例ではマッサージチェアを40万円で販売した場合には、開発コストを回収するためには、2500台を販売する必要があります。

しかし、逆に考えれば、開発コストを回収し終わった2501台目からは20万円以上で販売すれば儲けを出すことができます。みなさんも買い物をしていて、値段が急に下がったと感じることがあるのではないでしょうか。

たとえば、32型の液晶テレビは数年前までは30万円以上していましたが、2008年7月時点では13万円程度になっています。もちろん大量生産によって1台あたりの製造コストも下がったと思いますが、開発コストの回収が終わったために値段を下げても利益を出すことができるようになったとも考えられます。

著者
望月 実(公認会計士)
2011年12月末現在の法令等に基づいています。