ビジネスわかったランド (経理)
売上、売掛金の管理
なぜインターネットビジネスは儲かるのか
ビジネスの種類とコストの関係
企業のコストには変動費と固定費の2種類ありますが、変動費と固定費の割合はビジネスの種類によって変わってきます。そこで、変動費の割合が多い変動費型ビジネス、固定費の割合が多い固定費型ビジネス、変動費も固定費も少ないビジネスの3種類について説明します。
(1) 変動費型ビジネス
変動費型ビジネスの代表例としては、卸売や小売などの商品を仕入れて販売するビジネスがあります(右図)。変動費型ビジネスの具体例としては、インターネットでの家電販売をイメージするとわかりやすいと思います。インターネットで家電販売を行う場合には、店舗も販売員も必要としないため固定費は小さくなります。
しかしながら、インターネットには地理的な制約がないため、メーカー製の家電のように標準製品を販売する場合は価格競争が激しくなるというデメリットがあります。また、インターネット上にはさまざまな価格比較サイトがあり、価格競争を過熱させています。
変動比率は仕入原価を売上で割ることによって求められるので、販売価格が下落すればするほど変動比率は高くなります。
ある経営者は「以前はインターネットで家電を販売していました。はじめのうちは結構儲かったのですが、価格競争がどんどん厳しくなり最後の方は1億円の売上で30万円しか儲からなくなったので、インターネットでの家電販売を辞めることにしました」と、おっしゃっていました。
インターネットでの物品販売は、固定費が少ないため売上が減少してもあまり損失は大きくならない代わりに、売上が増加してもあまり儲からないビジネスモデルだといえます。
(2) 固定費型ビジネス
固定費型ビジネスの代表例としては、多額の設備投資を行って製品を開発するメーカーやサービス業などがあります(右図)。固定費型ビジネスの具体例として、ホテルや英会話学校などのサービス業をイメージしていただくとわかりやすいと思います。
英会話学校であれば教師の給料や教室の賃借料という固定費は多額に発生しますが、生徒が増えてもテキスト代程度しか追加コストは発生しないので変動費は少額となります。
固定費型ビジネスは、売上に対する固定費の割合が大きいため、売上が減少すると大きな損失が発生しますが、売上が増加すると大きく儲かる可能性があります。固定費型ビジネスのコスト構造については、次項の「生徒数の減少で大きなダメージを受けたNOVA」で詳しく説明します。
(3) 固定費も変動費も少ないビジネス
固定費も変動費も少ないビジネスとしては、インターネットでのサービス業が考えられます(右図)。
固定費も変動費も少ないため利益率は高くなる傾向があり、2008年3月期のヤフーの営業利益率は47.6%、ミクシィが37.3%、ネット証券大手であるマネックスグループが42.7%となっています。
このような高い利益率が期待されるコスト構造のため、1990年代後半には大きな注目が集まりネットバブルが起こりました。
インターネットには時間と空間を超えてサービスを提供できるというメリットがありますが、逆に考えると日本全国どこからでもホームページにアクセスできるため、勝ち組と負け組がはっきりと分かれるビジネスでもあります。
インターネットでのサービス業はとても有利なコスト構造ですが、ヤフーやミクシィなどの一部の勝ち組企業のみが多額の利益を計上することができるビジネスモデルだといえます。
著者
望月 実(公認会計士)
2011年12月末現在の法令等に基づいています。
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