ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

資金繰りの楽なビジネス・大変なビジネス
運転資金の金額はビジネスの内容によって異なってきます。そこで、(1)通常のビジネス、(2)現金商売、(3)前受金ビジネスの3種類について説明します。

(1) 通常のビジネス

通常のビジネス

通常のビジネスは商品を掛で仕入れ、掛で商品を販売します。そのため、売掛金や受取手形のサイトが長いビジネスや、不動産業などの在庫を多額に持たなければならないビジネスでは多額の運転資金が必要となります。


(2) 現金商売

現金商売

※運転資金とは、仕入代金を支払うまでの期間と販売代金を受け取るまでの期間のタイムラグを補うために必要となる資金を表しています。そこで本書では、資産>負債の状態で運転資金が必要となる場合を「運転資金のプラス」、資産<負債の状態で手元に必要な資金がある状態を「運転資金のマイナス」と表すことにします。

スーパーやデパートなどの小売業では、商品の仕入れは掛で行いますが、商品を販売した代金はお客様から現金で受け取るため、通常のビジネスよりも運転資金が少なくなり、資金繰りが楽になります。また、在庫金額の削減に成功すれば、運転資金の金額をマイナスにすることもできます。
運転資金がマイナスになるということは、ビジネスを継続することによって手元の資金がプラスになることを表しています。


(3) 前受金ビジネス

前受金ビジネス

英会話学校などの前受金ビジネスは、商品(サービス)を販売する前にお客様から代金を受け取るため運転資金がマイナスになることも多く、資金繰りはかなり楽になります。
しかしながら、前受金ビジネスは、資金管理をきちんと行わないと、突然、資金繰りが苦しくなり経営破綻につながるというリスクもあります。

前受金ビジネスのリスクについては、2007年10月に経営破綻したNOVAを使って説明します(次項「有利な資金繰りは諸刃の剣~NOVAの運転資金」を参照)。
なお、一般的なビジネスの運転資金は次の(A)のように計算されますが、前受金ビジネスでは(B)のように計算されます。

(A)運転資金=売上債権+商品-支払債務
(B)運転資金=売上債権+商品-支払債務-前受金

著者
望月 実(公認会計士)
2011年12月末現在の法令等に基づいています。