ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

目的に適した資金調達法は
基本的には、どんな場合であっても、まずコストのかからない方法から調達を検討すべきである。

資金調達法の心得
必要以上の資金を調達し、コストが発生することは非効率である。
したがって、まず、次のことを心掛ける。
1.自己金融
2.支払いサイトの延長
3.回収サイトの短縮
4.資産の売却
そのあとに、「増資・社債・借入」などのコストがかかる調達を検討することである。
検討項目としては、短期か、長期か、さらには通常か、臨時かを把握する。また調達による影響としては、
1.取引先からの交換条件はあるか
2.信用不安につながらないか
3.社員のモラールは低下しないか
などを検討することになる。
結局、調達の「難易度」「緊急度」「コスト」「影響度」を考慮し、まず悪化の原因となる要素を改善することから優先すべきである。
具体的には、社内からの財源として売上債権、在庫品、固定資産の圧縮に始まり、長期資金の調達は将来の利益から充当する方法をとることである。
また、リースも調達手段として考えられる。
リースは、費用と支出がイコールとなり、採算計算(資金管理)がしやすい。
しかし、支払リース料の累計は、借入金の場合の返済金額(利息を含む)よりも当然大きい。耐用年数が短くなるなどメリットもあるが、拘束条件が多いことにも注意が必要である。
資金繰りの苦しいことが、取引先や銀行・従業員に知れわたると、信用不安や社員のモラール低下などが生じる。
したがって、資金調達のための急な動きは避けなければならない。とくに、いったん信用不安の噂がたつと、仕入先からの支払条件や銀行からの借入条件が余計に厳しくなり、逆に資金調達を困難にしてしまうことになる。
コストのかからない早めの対応を常に心掛けるべきである。

資金別調達法
前述の資金調達の基本的な心得を踏まえたうえで、次のような資金使途別調達法を検討することになる。
 


著者
石田 昌弘(元オムロン株式会社経理部長)
2011年12月末現在の法令等に基づいています。