ビジネスわかったランド (経理)

固定資産等の管理

繰延資産とその償却は
 繰延資産とは、支出した費用の効果が及ぶ将来の数期間に合理的に費用配分するため、経過的に貸借対照表に計上するものをいう。これらの費用を繰延資産として繰延経理するか、支出したときに一時の費用として処理するかは、企業の選択に任されている。
なお、前払費用は、支出した費用のうちのサービス未提供部分をいうのに対し、繰延資産は支出した費用でサービスも提供済みのものを繰り延べたものをいう。

会社法上の繰延資産と償却
会社法、会社計算規則では、繰延資産として計上できる項目を列挙しておらず、具体的な償却方法や償却期間を定めていない。
そこで実務上は、「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」(企業会計基準委員会実務対応報告第19号(平成18年8月11日))によることになる。


税法上の繰延資産と償却
税法は、会社法上の繰延資産のほかに、支出済の費用でその支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものを独自に繰延資産としており、その範囲等は次のとおり。なお、税務上償却限度額の規制を受けるのは税法上の繰延資産のみである。
また、税法上の繰延資産は、残存価額ゼロの定額法(月数按分、1か月未満は切上げ)で償却を行なう。1件20万円未満は、一時に税金算入できる。


繰延資産の表示
会社法上の繰延資産は、貸借対照表上に「繰延資産の部」を設け、項目を示して表示する。償却累計額は、各繰延資産の金額から直接控除する。
 税法固有の繰延資産は、企業会計上「投資その他の資産」の「その他の資産」(会社計規74(3)四チ)などの名称(繰延資産という名称は用いない)を付して表示する。会計上は、支出時に費用処理して、税務上は「繰延資産償却超過額」として申告調整する場合もある。

著者
土田 秋雄(公認会計士・税理士)
 2010年12月末現在の法令等に基づいています。