ビジネスわかったランド (経理)

現金、手形等の管理

銀行割引に回すときの注意点は
 手形割引の場合、通常、銀行取引約定書に基づき、割り引いた手形が不渡りになった場合はもちろん、不渡り前でも割引依頼人が不渡りを出したり、差し押さえられたときには、銀行から割引手形の買戻しを求められたり、預金を買戻請求権と相殺されることがある。したがって、とりあえずは、不渡りの心配のない手形を割引に出すことが必要である。

手形割引とは
手形が満期になる前に、手形金額から満期までの利息やその他の費用を割引料として差し引き、その金額を銀行等の金融機関等から受け取ることができる。この金融取引のことを手形の(銀行)割引という。手持ちの資金不足を解消するための資金調達手段とすることが多い。満期未到来の手形を譲渡する取引のことである。

現金化は一定限度までしか許されない
銀行に手形の割引を依頼した場合、銀行は割引依頼人ごとに設定している割引限度額までしか融資してくれない。この限度額のことを「割引融資枠」という。
銀行は、手形割引依頼人の資産状況や取引の信頼性を勘案して割引融資枠を決めており、それ以上の手形割引には応じない。
割引融資枠を拡大するためには、日頃の預金協力や取引の信用を大事にしなければならない。

手形の抱合せ割引という方法もある
銀行にとっては、割引手形の買戻請求権により、手形が不渡りになっても損害の負担はないとはいえ、不渡手形処理の煩雑な手続きや不渡りを受けたことによる割引依頼人への資金的援助などを考えると、割引依頼する手形の信用度も重要である。
そのため銀行は、関連会社振出しの手形など、融通手形の可能性のある手形、またはあまり長いサイト等の手形の割引には応じず、やはり優良企業の信用度の高い振出人の手形を好む。
そこで、信用度の高い手形と信用度の低い手形を抱合せで割引依頼に出す、といった交渉術を使うのも有効である。

割引手形記入帳による管理も必要
割り引いた手形は、割引手形記入帳などにより管理する。この記入帳により、割引手形残高と割引枠との関連を管理し、いつどれだけの手形割引が可能なのかをチェックして、資金繰り管理にも役立てる。

割引手形が不渡りなら買戻しを求められる
割引に出した手形が支払期日にきちんと支払われれば問題ない。しかし、割引に出した手形が不渡りになった場合、銀行は裏書人である手形割引人に手形金の支払いを請求してくる。さらに、銀行は、割引依頼人との間で結ばれた銀行取引約定書に基づき、割引依頼人に倒産の不安が生じた場合、あるいは倒産した場合、割り引いた手形の支払い期日前であってもその手形の買戻しを請求してくるのである。

著者
田邉 太郎(公認会計士・税理士)
2011年1月末現在の法令等に基づいています。