ビジネスわかったランド (経理)

年次決算

従業員などを増やして税額控除を適用できないか
⇒「増加人数1人当たり20万円の税額控除が受けられる」

雇用促進税制の創設
従業員などの雇用者を前期末に比べ増やした場合に、税法上、特典があるのが「雇用促進税制(雇用者の数が増加した場合の税額控除)」です。
この制度は、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当期末の雇用者の数が前期末の雇用者の数に比して5人以上(中小企業者等は2人以上)及び10%以上増加していることについて証明がされるなど一定の場合には、増加人数1人当たり20万円の税額控除が受けられます。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額が限度となります。
この制度の適用対象法人は、青色申告法人です。なお、雇用者の増加数の要件が2人以上とされる中小企業者等とは、青色申告法人のうち中小企業者又は農業協同組合等をいいます。
(注)中小企業者等とは次の法人をいう。
  1. 資本金が1億円以下の法人のうち下記以外の法人 (1) 同一法人の大規模法人に資本金又は出資金の額の1/2以上を所有されている法人
    (2) 2以上の大規模法人に資本金又は出資金の額の1/3以上を所有されている法人
  2. 資本金を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
  3. 資本金を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
  4. 農業協同組合等

出典:国税庁「平成23年度 法人税関係法令の改正の概要」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2011/pdf/02.pdf

対象となる要件
この制度の適用を受ける為には、次の1から5までの要件を全て満たしている必要があります。
  1. 前期及び当期に事業主都合による離職者がいないこと
  2. 基準雇用者数≧5人(中小企業者等については2人)
    基準雇用者数=当期末の雇用者の数-前期末の雇用者の数
  3. 基準雇用者割合≧10%
    基準雇用者割合=基準雇用者数/前期末の雇用者の数
  4. 給与等支給額≧比較給与等支給額 (1) 給与等支給額とは、当期の所得の金額の計算上損金の額に算入される給与等(雇用者に対するものに限る)の支給額をいう (2) 比較給与等支給額=前期の給与等の支給額+(前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%)
  5. 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業(一定の事業を除く)を行っていること(風俗営業等を営む事業主でないこと)

(注)この制度における雇用者とは、法人の使用人のうち雇用保険の一般被保険者であるものをいい、使用人から役員の特殊関係者(役員の親族など)および使用人兼務役員を除く。

ただし、次の事業年度については、この制度の適用がありませんのでご注意ください。
(1) 設立(合併による設立を除く)の日を含む事業年度
(2) 解散(合併による解散を除く)の日を含む事業年度
(3) 清算中の各事業年度
手続き
この制度を受けるためには、事業年度開始後2ヶ月以内に本社・本店を所轄するハローワークに雇用促進計画を提出しなければなりません。

(必要書類)

(1) 「雇用促進計画-1」
(2) 「雇用促進計画-2」
(3) 主たる事業所の雇用保険適用事業所番号が分かる書類 (例:雇用保険適用事業所設置届・変更届の事業所控えの写し など)
ハローワークは、「雇用促進計画-1」に受付印を押して返却してくれますので、大事に保管して下さい。
事業年度が終了すると、雇用促進計画の達成状況を確認する手続きがあります。事業年度が終了してから2ヶ月以内に、ハローワークに下記の書類を提出して下さい。
(1) 計画開始時に押印された「雇用促進計画-1」に雇用増加数などの達成状況を追記したもの
(2) 返信用封筒(返送先を記入し、簡易書留の所要額の切手を貼り、「雇用促進計画在中」と明記)
雇用促進計画の達成状況を確認した上で、ハローワークから「雇用促進計画-1」が返送されます。そのコピーを確定申告書に添付して、雇用促進税制の適用を受けることができます。
 
自社でする分には費用はかかりませんので、明らかに雇用する予定がない場合を除き、事業年度開始後2ヶ月以内に雇用促進計画を提出することをお勧めします。 


著者
今村 仁(マネーコンシェルジュ税理士法人/税理士)
http://www.money-c.com/

2013年1月末現在の法令等に基づいています。