ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

経営ビジョンも説明したほうがいいのか?

経営ビジョンは羅針盤ですから、話したほうがいいでしょう。自社の位置づけに迷ったら、創業したときを思い出しましょう。

●会社がどこに向かっているのか「羅針盤」を示そう
いざ銀行員と融資の交渉をするうえで、その座る位置とか、メモ役を置くなどの準備が整ったら、あとは実際に銀行員とどのような会話をしていけばいいのかが問題になります。
まず、銀行は「お金を貸すのが仕事」ではなく「借りたお金を利息を付けて返してもらうまでが仕事」であることも、本書では繰り返し説明してきました。当然、借りたお金を返すための売上や利益がどの程度なのかを具体的な数字で示さねばなりません。
そのうえで、会社がどの方向に向かっているのか、また、社会に対してどのように貢献していこうと考えているのかなど、会社としての「羅針盤」や「存在価値」なども話されてはどうでしょうか。
たとえ、売上規模や利益の金額が少なくても、社会に存在価値のある会社ならば、金融機関は応援したくなるからです。

●経営は大海原を航海しているようなもの
そもそも、盤石な経営基盤の上に成り立っている会社は意外に少ないものです。取引先なども、いつまで取引をしてくれるかわかりません。従業員も、いつ退職するのか、もしくは「反乱」を起こす可能性だって十分に考えられます。
中小企業の場合、いつ倒産の憂き目にあうのか、そのリスクと隣り合わせといえます。また、借金を背負っている会社ならば、リスクはさらに増大するものです。
つまり経営者には、こうした起こり得るさまざまなリスクを乗り越えていく器量が必要なのですが、たとえどんな「嵐」がこようとも、必ず目的地に到達するという「信念」と、そこに向かう指針となる「羅針盤」が必要なのです。
銀行員は、「もし、経営改革しても従業員がついてこなかったらどうしますか?」とか、「これで取引先からの支援を得られるのですか?」といった、会社の痛いところを突く質問をしてくることがあります。そんなときでも確固たる「羅針盤」があれば、その質問を返り討ちにすることができるのです。

●設立時の意思をもう一度確認すること
私は経営者に「なぜ、会社を設立しようと思ったのですか?」とよく聞きます。この設立時の熱い思いには、何か社会に対し「存在意義」を示す理由があると思うからです。もう一度原点に立ち返ってみることで、「羅針盤」を探してみてください。


 

著者
石橋 知也(資金調達コンサルタント)