ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

運転資金としての融資は受けにくいのか?

設備資金に比べて、運転資金としての融資は受けにくいといえます。どうしても運転資金、ということなら使途は具体的にしましょう。

●「運転資金」とは?「設備資金」とは?
「資金使途」について質問したときに非常に多く聞かれるのが、「運転資金に使います」という回答です。
「運転資金」とは、仕入先への支払資金や、従業員に対する人件費、もしくは借金の返済資金など、会社を運営するための資金であり、言い換えると、会社という組織を動かして、前へ前へと「転」がしていく資金はすべて「運転資金」となります。
「設備資金」でないものはすべて「運転資金」となるのです。

●「設備資金」のほうが融資の審査が通りやすい
「設備資金」とは文字どおり、会社の設備に対する資金で、機械を購入したり、自社ビルなどを建設したり、店舗の改装や机、椅子などの什器などを購入するための資金のことをいいます。
銀行の融資では、「設備資金」のほうが融資は実行しやすいのです。なぜなら、「資金使途」「融資金額」「返済方法」「返済原資」「保全」の5点のうち、「保全」を除く4点の説明がしやすいからです。
「資金使途」や「融資金額」は、導入する機械設備などの見積書さえあれば説明できるものであり、「返済方法」や「返済原資」についても、機械の購入や店舗の改装などにおいては、その設備の導入に伴い、受注増や来店客の増加など売上が向上することにつながることから、説明がしやすくなります。

●設備資金以外の資金使途はすべて運転資金
ところが「運転資金」はどうでしょう?
運転資金には当然、見積書などの具体的な書面はありません。また、仕入や人件費、広告宣伝費などの支払に充てられた資金が、直接的に受注増につながるとは考えにくいものです。
私は銀行員のころ、融資担当の上司から「運転資金とは、設備資金以外の資金のことだ」と教わりました。つまり、「設備資金」のように、設備としてカタチに残る資金以外のものは、すべて「運転資金」だと教わったのです。
そうなると、「この融資のお金は何にお使いですか?」と銀行員から聞かれて、「運転資金に使います」と答えているということは、実は、「設備資金以外のことでお金を使います」と答えているのと同じこととなるのです。
ですから、「運転資金」は「仕入先10社に対する支払資金」「従業員20名のボーナス支払資金」など、その中身や内容について具体的に答えてほしいのです。

 

著者
石橋 知也(資金調達コンサルタント)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。