ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

必要運転資金の見積り方は
企業が営業活動を継続するのに必要な資金を必要運転資金といい、基本的には流動資産から流動負債を控除した金額であるが、具体的な見積り方は次のとおり。

運転資金とは
運転資金とは、日常の営業活動を継続していくために必要な資金のことであり、現預金を除く流動資産から流動負債を控除した金額をいう。
ただし、資金管理上は、「売上債権+在庫-仕入債務」を用い、その他の資産・負債を計算から除く。
すなわち、商品・材料を仕入れてから仕入代金を先に支払う場合は、売上代金を回収するまでの間は、つなぎの資金手当てをしないと営業は続けられない。この資金のことを運転資金という。事業を継続するのに必要な資金ということから必要運転資金ともいわれる。
 

運転資金は、売上高に変化がなく、回収と支払いの条件や在庫保有割合が同じであれば必要とする金額は変わらない。
しかし、売上が増減すると、これらの条件が一定であれば必要とする運転資金も売上に比例して同じように増減してしまう。
一般的な会社では、在庫という期間があるため、仕入れてから回収するより支払いのほうが早くくるために、売上が増加すると運転資金も増加する。この増加する資金を増加運転資金という。

増加運転資金の計算法
増加する金額を把握するには、まず、自社の運転資金の構造をよく知ることである。
つまり、売上債権、在庫品、仕入債務のそれぞれについて、売上高の何か月分を保有しているかを算出しておくことである。
たとえば、売上高に対する通常残高が在庫1.0か月、売掛金1.5か月、受取手形(割引手形を含む)1.7か月であり、仕入債務の通常残高が1.8か月であったとすれば、必要運転資金の金額は売上高の2.4か月分(=1.0+1.5+1.7-1.8)となる。
この場合、会社の売上高が年間1億円増えると、運転資金は2千万円(=1億円×2.4÷12)増加し、新たに資金調達が必要となる。

著者
石田 昌弘(元オムロン株式会社経理部長)
2011年12月末現在の法令等に基づいています。