ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

資金繰り悪化要因の把握の仕方は
3か月・6か月先の資金繰り表を作成し、それを毎月更新していくことにより把握する。

資金不足とは
資金が不足していく状態は、資金繰り表の翌月繰越額が減少することで現われる。俗に、資金ショートとは、借入などの財務収入以外、つまり、通常の営業収入で支出を賄えない状態になったことをいう(財務収入でも賄えないと倒産)。
この資金ショートは、大口の売掛金の焦付きや受取手形の不渡りが発生したときに突発的にくる場合もある。
しかし、通常は少しずつ資金がタイトになってくるものであり、できるだけ早くその時期と金額を把握する必要がある。それにより金額・期間や方法など効率のよい資金調達が検討できるのである。

資金不足の把握
いつ資金が不足するかを把握するには、資金繰り表の作成が有効な手段であり、3か月・6か月先の資金繰り表を毎月更新していくことによりわかる。
資金不足になるときは、次のことを把握しておかなければならない。
1.不足する金額…大きい金額であれば、それなりの調達方法を考えねばならないし、小さな金額であれば事業活動のなかのやり繰りで乗り切れる。
2.不足する原因…決算資金や賞与などの季節的なもの(下図参照)、過大投資、運転資金の増加、得意先の倒産などの原因があり、それぞれ対応も異なる。
3.不足する期間…不足する原因が季節的なものであれば短期間で終わるが、過大投資や構造的な運転資金の増加、それに業績低迷の場合は根本的な体質改善が必要となる。


資金繰り悪化の原因
資金繰りが悪化する場合は、突発的なもの・見込み違いのもの・予定どおりのものなどの切り口でも分けられる。
また、原因を細分化すると、次のようになる。
・回収悪化による売掛金の増大
・管理不備による在庫の増大
・支払条件のサイト短縮、現金払いの増大
・過大投資による固定資産の増加
・借入金の返済
・業績の悪化
・過度な利益処分(配当や役員賞与)による留保利益の減少
・財テクの失敗
・大口貸倒れの発生
・不渡りの連鎖

著者
石田 昌弘(元オムロン株式会社経理部長)
2011年12月末現在の法令等に基づいています。