ビジネスわかったランド (経理)

仕入、買掛金の管理

資金繰り改善のための支払サイトの決め方は
資金繰り改善のためには、支払いと回収とのサイトギャップを縮小する方向でバランスをとることが肝要である。

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サイトギャップは慢性的資金不足の原因
会社の資金の流れについては、別項で述べているが、当然のことながら、売掛債権の回収より早く仕入代金を支払わなければならないときには、つなぎ資金(運転資金)が必要になる。通常は、売上が増えれば増えるほどつなぎ資金の金額は大きくなるが、過大な必要運転資金は、慢性的資金不足の原因となる。いわゆる黒字倒産にもつながりかねない。
財務体質を改善するには、この支払いと回収のサイトギャップをどうして縮めるか、どこまで縮めるかが大きな課題である。

適正なサイトに近づけるために
サイトギャップの調整法については、やはり別項で触れているが、いずれにしても、売上の回収サイトも仕入の支払サイトも、どちらかが異常に長いというのは健全な状態(体質)ではない。
問題が生じないように、業界の慣習も参考にしながら、回収サイトと支払サイトをほぼ一致させるのが次善の策といえる。
さらに、サイトを大きく変更しなくても、大口の支払日の前に大口の集金日をもってくるなどの工夫により、月中の資金繰りに大きな過不足が生じないように余裕をもたせることができる。

他部門、他社の協力が不可欠
慢性的な資金不足を解決するために支払サイトを調整(延長)するのは、大変な努力がいる。それは仕入先との交渉により取引条件を変更しなければならないからである。
また、サイトを調整することにより、仕入コストの上昇を招くなどの事態が生じる可能性があり、自社の都合だけで強硬に進められるものではない。当然、事を起こす前には、販売部門や購買部門と綿密な打合せを要する。

著者
石田 昌弘(元オムロン株式会社経理部長)
2011年12月末現在の法令等に基づいています。