ビジネスわかったランド (経理)

在庫管理

棚卸減耗費の経理処理は
 棚卸資産の帳簿残高と実地棚卸高の間に生じた差額を棚卸減耗費というが、経理上は品質低下や陳腐化を原因とする評価損の処理に準じて処理する。

差額の発生原因
帳簿記録と実地棚卸との間に差額が生じる原因としては、次のようなものが考えられる。


差額の経理処理の仕方
帳簿棚卸と実地棚卸との差額を調べた結果、売上漏れが発見されるといったこともあり、無条件で棚卸金額に合わせる前に差異の原因を追及することが肝心である。この点からも、日頃の両者のチェックをこまめに実行することが不可欠である。1年に1回といった極端なケースでは、差異の原因の追及がたいへん困難となる。
帳簿記録よりも実地棚卸のほうが少なかった場合で、その原因がどうしてもつかめなかったときは、その少ないままで期末棚卸高を計上すれば、減耗額が自動的に売上原価に算入される(仕訳1)。しかし、この方法では何らの処理も行なわれないため、簡便ではあるものの明瞭性に欠ける。
この点を補うために、棚卸修正差額をより明らかにし、「棚卸減耗費」として売上原価や販売費に含め、臨時に多額の差異が生じた原価としての関連性が薄いものは、営業外費用や特別損失として処理するのが望ましい(仕訳2)。
【仕訳1】
〔例〕 帳簿棚卸高250万円に対し、実地棚卸高が220万円であったとき
(借)商品 220万円  (貸)期末棚卸高 220万円
(注) この場合は、30万円の差額について何らの表示はされない。
【仕訳2】
(借) 棚卸減耗費 30万円  (貸)商品 30万円
(注)棚卸減耗費勘定は、原価性の有無により表示箇所が異なるが、業務等の性質上経常的に発生するものは、原価性のあるものとして売上原価(内訳科目)か販売費に含める。

著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2010年8月末現在の法令等に基づいています。