ビジネスわかったランド (経理)

仕入、買掛金の管理

仕入計上基準の変更の可否と注意点は
 棚卸資産の仕入計上基準には入荷基準と検収基準があるが、いったん採用した基準は継続適用する必要があり、それを変更するには、合理的な理由が必要とされる。

<< 仕入の計上基準は >>

「入荷時」か「検収時」の引渡基準を適用
会計上の仕入計上基準、すなわち正式な棚卸資産の受入時期については、原則として引渡基準によるものとされる。税務上も、仕入により債務が確定する引渡時によるものが適切とされる。
ただし、ひと口に「引渡時」といっても、棚卸資産が自社に到着したときをベースに考える「入荷基準(到着基準)」と、検収を終了した段階で仕入れたとする「検収基準」の代表的な2つの考え方がある。
量産品を継続して仕入れる場合で、品質上の問題が少ないとき等は入荷基準によるが、確実な検収基準によるのが一般的である。

未着品等の計上
実務では、いまだ運送の途中にある棚卸資産(未着品)を仕入計上するケースや、自社または相手方の指定する外部倉庫等に棚卸資産が搬入された状態で仕入計上することがある。その他使用高払いと称して、自社の倉庫等に棚卸資産を預かり保管のうえ、当月中に消費した数量のみを仕入計上するケースが副資材等に見られたり、外注先から得意先へ直送販売された数量を納品伝票で確認のうえ、当該数量の仕入計上を行なうといったことも見られる。これらの仕入計上方法は、それぞれ棚卸資産の種類、性質その他販売契約の内容などに応じて合理的な理由が必要となる。

金額が未確定な仕入計上
棚卸資産の受入れは完了したものの、仕入金額の決定が一定のシーズン後に行なわれるため一応の建値等で計上しておき、後日決定価額との差額を調整し決済する業種も見受けられる。こんな場合でも、仕入計上は、通常どおりの引渡基準を原則とすべきで、決定価額との差額は決定した年度の損益として処理する。

継続適用が原則
引渡基準によるにしても、粉飾等の利益操作を排除するためにも安易な変更は許されず、合理的な理由がない限り、継続して適用しなければならない。

著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2010年8月末現在の法令等に基づいています。