ビジネスわかったランド (経理)

経営分析

分析結果による改善の図り方は
 経営分析は、分析の結果を経営改善に活かしてこそ意味がある。総資本経常利益率や売上総利益率などについて改善目標や改善のための具体策を検討することが必要である。

分析結果の活用ポイント
経営分析は、分析するだけで終りではない。分析によってとらえられた経営の弱点について、改善の処方箋づくりに役立たせる必要がある。
次に、そのアウトラインをいくつかあげる。

総資本経常利益率の改善
経営計画の基本目標を、総資本経常利益率4%から6%にすることを掲げる。
その実現のために、売上総利益率の向上と資本の効率化を検討する。

売上総利益率の改善
損益分岐点分析の結果を利用して、売上の増加、変動費率の低減、固定費の見直しを行なう。
実際には、売上の増加(販売計画の作成)、変動費の削減(流通業では商品調達について、製造業ではVA(価値分析)による代替材料の検討や不良の手直し、工数の削減等)、固定費の削減(間接人員の効率化等)などの面で具体策を検討する。

各資産回転期間の短縮
売掛債権回収の促進や在庫の削減を図る。
その実現のために、部門別・担当者別の売掛金管理や在庫の受払管理用のコンピュータの導入等も検討する。

付加価値の向上
損益分岐点分析の結果を利用し、限界利益率の高い商品や製品の組合せ等を検討する。

店舗展開の検討
それに伴う売上増、変動費や固定費の増加等、損益分岐点分析でシミュレートする。

設備の新規投資や設備改善
それに伴う売上増や売上原価削減、固定費の増加等について、予想損益計算書や損益分岐点分析でシミュレートする。

前二者の場合の資金計画の検討
予想資金運用表による資金の調達と返済のチェックを行なう。

部門管理者・担当者の参画
部門管理者や担当者を参加させ、従業員全体の教育とモラルの向上を図る。
経理としては、教育的観点から、わかりやすく、興味をもたせるような説明や資料づくりにも心配りをする。
これらは1例に過ぎない。分析結果の活用は、経営管理における問題点、目標と結果が数字で示され、より具体的となる。

著者
八田 数夫(経営コンサルタント)
監修
税理士法人A.Iブレイン
2013年3月末現在の法令等に基づいています。