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固定資産等の管理

リース会社の選び方は?

リース会社は、以下のような手順を踏んで選別・決定をしましょう。


(1)リース会社決定までの流れ
(a)リース会社を探す
設備などをリースにかける場合、その設備を扱う商社などの販売店が提携しているリース会社を紹介してくれます。または取引銀行にリース会社の紹介を依頼すれば、喜んで紹介してくれると思います。通常は、これで事足りるのですが、より有利なリース条件にしようとすれば、自らリース会社にコンタクトをとり、3社程度のリース会社で相見積りをとることが一番です。
リース会社は、電話帳で見ればすぐ見つかりますし、最近ではインターネットを利用することもできます。(社)リース事業協会のホームページには、リース事業協会正会員の一覧表が掲載されています。

(b)リース会社に見積りを依頼する
筆者が調べたところでは、リース会社によって若干異なるようですが、リースの見積りを依頼するには次の事項が必要です。
・物件の種類・用途・設置場所
・購入時の決済条件
・物件価格
・会社の業種
・会社名
・会社所在地・電話番号
・代表者名・代表者の生年月日・自宅電話番号



(c)リース料の提示を受ける
リース会社にリース料の見積りを依頼すると、月額いくらという形で提示がある場合もありますが、「料率」というパーセンテージで見積りがくる場合があります。この料率とは、物件の購入価額にそのパーセンテージを掛けたものが月額リース料になる値のことをいいます。
たとえば、料率が1.9でその物件の購入価額が100万円であれば、月額リース料は100万×1.9%で、1万9000円になります。この料率を知っていると、リースをかけた場合のだいたいのリース料が予想できるため、いろいろと便利です。もちろん、この料率が低ければ低いほど、有利であることはいうまでもありません。
わかりにくい場合は、物件の購入価額をリース会社に伝えて、月額いくらという形で見積りの提示を受けてください。

(d)リース会社を決定する
リース料は、低いに越したことはありません。通常、受けられるサービスは同じであると思います。メンテナンスをからめる場合は、その内容を十分比較検討してください。最悪のケースとして、リース会社が倒産した場合でも、リース物件のメンテナンスがユーザー責任になっている場合は、ほとんどユーザーにとって問題は生じないと考えられます。したがって、リース会社の選定方法としては、リース料の提示が一番安いところになるでしょう。

 

(2)リース会社の決定基準
以前は、リースを申し込んでもリース会社に断られるようなことは少なかったと思いますが、最近では、ときどき耳にするようになりました。それというのも、倒産の激増で、リース会社も少なからず損害を被っているからです。
リース会社はリース物件を担保にとっていますが、その物件はユーザーにとっては価値があるものでも、リース会社が引き取って価値があるものではありません。このため、ユーザーからのリース料が未回収になれば、ほとんどその全額が貸倒となってしまい、リース会社は、かなりの損害を被るわけです。
このため、リース会社も、特に最初の契約を行う場合には、ユーザーに対し、最近の決算書の写しを要求する場合があります。

現に大手のリース会社のパンフレットには、リースを組む際の提出資料として「過去3期分の決算書」があげられています。決算書の内容は、税務申告書、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳書を指すようです。これで、ユーザーの経営状況を判断し、リースに応じるかどうかを決めるのです。決算書のほかにも、帝国データバンクのような一般の調査会社の信用情報も参考にするようです。
リースに応じるか否かの決定基準は、リース会社によって違っているため、あるリース会社では断られても、あるリース会社ではOKだということが、よくあります。そのため1社に断られたからといって、あきらめることはありません。ほかのリース会社にあたってみてください。

それから最近では、リース会社はその会社のキャッシュフロー(資金収支)も見るということです。キャッシュフローには、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローの3つがありますが、リース会社が見るのは当然ながら、営業活動によるキャッシュフローです。なぜなら、これがリース料の支払原資になるからです。営業活動によるキャッシュフローがマイナスのようでは、いくらその投資により営業収入が増えるとユーザー側が主張しても、リース会社には信じてもらえないところがあります。しかし、現在の営業によってリース料がまかなえるだけの営業キャッシュフローがあれば、リース会社はそれを支払原資と考えてリースに応じると考えることはできます。

 

著者
芥川  基(弁護士)
2012年6月末現在の法令等に基づいています。