ビジネスわかったランド (経理)
売上、売掛金の管理
資金繰り改善のための回収サイトの決め方は
回収サイトは、受取手形の割引などで調達できる資金を見据えながら、業界慣習なども考慮し、支払サイトとのギャップを極力縮める方向で決める。
<< サイトギャップ調整の必要性 >>
自社の資金の流れを把握する
資金繰りを考えるときには、まず自社の資金の流れがどうなっているのかを把握しなければならない。すなわち、自社の資金の収入・支出の「金額」「時期」「方法」などについて、項目別に正確に記録し、その特性をつかむことが必要である。
下図は、一般的な会社の主な資金の流れ(収支)である。左側は商品の売買に伴う収支であり、右側はその売買活動を行なうために必要な支出と金融収支であり、下側はそれらの過不足を調節するための調達資金収支である。
運転資金の圧縮を図る
こうした資金の流れからわかるように、商品・材料を仕入れると一般的な会社では在庫期間があるため、販売して回収するよりも先にその仕入代金を支払わねばならず、支払いと回収までの期間にギャップが生じることとなる。
そのため、支払ってから回収するまでの間は、つなぎの資金手当てをしないと営業は続けられない。この資金のことを運転資金という。これは、事業を継続するのに必要な資金ということから、必要運転資金ともいわれる。
この支払いと回収のギャップ、つまり運転資金を可能な限り圧縮することは、自社の資金繰り改善に大きく寄与することになる。
資金調達も含めて総合的に設定する
そこで、自社のサイトギャップがどれくらいかを把握しておき、目標とするサイトまで圧縮・調整を図るようにする。
その目標の設定は、必要運転資金を売上高の1か月以内ぐらいにするとか、受取手形を割引に出すことにより、回収サイトを支払いサイトに合わせ、実質上のサイトギャップをなくすなどである。
次の例は、割引以外の運転資金調達は必要がなくなる場合である。
理想的には、この例のように割引をすればサイトギャップがなくなるように回収サイトと支払サイトを決めることである。
もっとも、業界それぞれに平均的なサイトが慣習的に決められている。また、取引先との力関係等もあり、自社の都合だけで一方的に決められるものでもない。それを強行すれば、当然のことながら得意先からの反発が生じる。最悪の場合、得意先を失うことにもなりかねない。そういうことが起こらないよう、営業部門の全面的な協力のもとで、得意先個々の状況を見極め、交渉できる先とできない先を区別し、売掛金の早期回収、受取手形サイトの短縮など地道な交渉を続けることが肝要であろう。
著者
石田 昌弘(元オムロン株式会社経理部長)
2011年12月末現在の法令等に基づいています。
<< サイトギャップ調整の必要性 >>
自社の資金の流れを把握する
資金繰りを考えるときには、まず自社の資金の流れがどうなっているのかを把握しなければならない。すなわち、自社の資金の収入・支出の「金額」「時期」「方法」などについて、項目別に正確に記録し、その特性をつかむことが必要である。
下図は、一般的な会社の主な資金の流れ(収支)である。左側は商品の売買に伴う収支であり、右側はその売買活動を行なうために必要な支出と金融収支であり、下側はそれらの過不足を調節するための調達資金収支である。
運転資金の圧縮を図る
こうした資金の流れからわかるように、商品・材料を仕入れると一般的な会社では在庫期間があるため、販売して回収するよりも先にその仕入代金を支払わねばならず、支払いと回収までの期間にギャップが生じることとなる。
そのため、支払ってから回収するまでの間は、つなぎの資金手当てをしないと営業は続けられない。この資金のことを運転資金という。これは、事業を継続するのに必要な資金ということから、必要運転資金ともいわれる。
この支払いと回収のギャップ、つまり運転資金を可能な限り圧縮することは、自社の資金繰り改善に大きく寄与することになる。
資金調達も含めて総合的に設定する
そこで、自社のサイトギャップがどれくらいかを把握しておき、目標とするサイトまで圧縮・調整を図るようにする。
その目標の設定は、必要運転資金を売上高の1か月以内ぐらいにするとか、受取手形を割引に出すことにより、回収サイトを支払いサイトに合わせ、実質上のサイトギャップをなくすなどである。
次の例は、割引以外の運転資金調達は必要がなくなる場合である。
理想的には、この例のように割引をすればサイトギャップがなくなるように回収サイトと支払サイトを決めることである。
もっとも、業界それぞれに平均的なサイトが慣習的に決められている。また、取引先との力関係等もあり、自社の都合だけで一方的に決められるものでもない。それを強行すれば、当然のことながら得意先からの反発が生じる。最悪の場合、得意先を失うことにもなりかねない。そういうことが起こらないよう、営業部門の全面的な協力のもとで、得意先個々の状況を見極め、交渉できる先とできない先を区別し、売掛金の早期回収、受取手形サイトの短縮など地道な交渉を続けることが肝要であろう。
著者
石田 昌弘(元オムロン株式会社経理部長)
2011年12月末現在の法令等に基づいています。
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