ビジネスわかったランド (経理)
売上、売掛金の管理
売掛金の残高確認の仕方と不一致の際の対応は
売掛金の残高については、最終的には得意先ごとへ文書によってその金額が正しいかを問い合わせることになるが、もし不一致がある場合は経理部門が直接その内容を問い合わせるとともに、最悪の場合、営業担当者が不正行為を隠すために顧客と結託したり、営業担当者が確認書そのものを改ざんするといったケースも想定して迅速に対応する必要がある。
<< 売掛金の残高確認の手順 >>
要注意の取引先を優先する
売掛金の残高確認の方法としては、差異の有無に関係なく回答を求める積極的確認と、差異の可能性がある場合や差異があった場合のみ回答を求める消極的確認とがある。両者を比較した場合、前者が確実に回答を求める点で優れているが、顧客の事務負担はより多くなる。
そこで、次のような状況が生じた場合、要注意先として優先して残高確認を行なう必要がある。
不一致が認められたら妥当性を確認する
顧客からの回答の中に不一致があった場合は、内容の妥当性を確かめなければならない。
不一致の原因としては、商品納入時期のズレや回収時期のズレであることも多い。納入時期のズレは、当方で発送した日と先方が受領した日(検収した日)との相違によって発生し、回収時期のズレは、銀行振込みや手形の郵送等に関する双方の記帳日が異なることから発生する。
いずれにしろ、これらの時期的ズレは、時間の経過により解消する性格のものであり、決算に際しての修正は通常不要である。
不一致の内容は、上記のほかに不正や誤謬も含めて様々なものが考えられる。通常、このような不一致は、売掛金の年齢調べ表の分析や毎月の請求額と回収額との差異分析によって、早期に発見され処理されるはずだが、これらを怠っている場合は、残高差異の原因究明が非常に困難になる。それゆえ、迅速に対応する必要がある。
不一致の原因が解明できないときの対応
どうしても不一致の原因が解明できず、かつ金額的にも少額である場合には、その差異をいつまでも売掛金として残しておかないで、責任者の承認のもとに損失(あるいは利益)として会計処理するのも、実務的に採用されている方法である。
また、残高確認が未回答の場合には、再度確認書を発送するか督促が必要であり、それでも未回答であれば、何か特別の理由があるかもしれない。この場合は、別の手段(たとえば、請求額と回収額の差異分析、受領書のチェック等)で当方の残高の正確性を検証しておく必要がある。
<< 売掛金の残高確認の際の注意点 >>
残高確認の注意点をまとめると、次のとおり。
確認が遅きに失しないように注意する
回収遅延等で気づく場合は別として、年に1回の残高確認ではじめて不良売掛債権の実態が把握されることもある。
決算日の売掛金残高数値について、残高確認書を決算日から1か月ないし2か月後に先方へ発送。さらに1か月後くらいに回答を取り寄せ、結果を集計チェックして責任者に報告するのは、それからまた1か月くらい先になるケースも少なくない。たとえば、3月決算会社なら、5月初旬頃に発送して6月末を回答期限とし、7月ないし8月に集約結果を報告するという段取りになるであろう。
この方式でいくと、2月や3月の債権ならまだしも、前決算日明けの4月に発生した不良債権の場合、その実態が先方との突合せで確認されるのは、翌年の8月頃となる。その結果、当該不良債権に対して迅速な手続きをとることができなくなるので、ふだんからの回収状況のチェックなどが必要になる。
一歩踏み込んだ管理が肝要
残高確認は、100%の回答はなかなか得られるものではない。
回答のあった相手先はよいのだが、問題は未回答の相手先である。返事が来ないのは、不突合があるか不都合があるかなど、残高に問題を抱えていることが考えられる。中には、面倒がったり忘れたりする相手先もあるだろうが、普通、未回答の相手先には、再度回答を求めるべきであり、それでも回答しないというのは要注意である。
また、売掛債権の内容が正しくない場合もあり得る。もし、自社の残高金額が、営業担当者の不手際から、所定回収日の過ぎたもの(つまり滞留売掛金)を含んでいた場合は、先方も残高が一致していると回答してくるであろう。したがって、残高一致の回答をもって安心してはならない。売掛金が実在していることと回収できることは別であり、滞留売掛金はないか、サイトが違っていないかなど踏み込んで分析・管理することが重要である。
最悪の場合、不正を疑うことも
営業担当者が会社に全部または一部を収納せず着服し、先方と結託して作成された残高確認書は、資金的に裏付けのない売掛債権が生じることになる。
したがって、残高確認は、営業担当者ルートとは別で、経理部門が独自に実施すべきである。
<< 売掛金の残高確認の手順 >>
要注意の取引先を優先する
売掛金の残高確認の方法としては、差異の有無に関係なく回答を求める積極的確認と、差異の可能性がある場合や差異があった場合のみ回答を求める消極的確認とがある。両者を比較した場合、前者が確実に回答を求める点で優れているが、顧客の事務負担はより多くなる。
そこで、次のような状況が生じた場合、要注意先として優先して残高確認を行なう必要がある。
- 売掛金残高が累増する得意先
- 売掛金残高に動きのない口座
- 入金日が不規則になった口座
- 入金内容が変わった口座
顧客からの回答の中に不一致があった場合は、内容の妥当性を確かめなければならない。
不一致の原因としては、商品納入時期のズレや回収時期のズレであることも多い。納入時期のズレは、当方で発送した日と先方が受領した日(検収した日)との相違によって発生し、回収時期のズレは、銀行振込みや手形の郵送等に関する双方の記帳日が異なることから発生する。
いずれにしろ、これらの時期的ズレは、時間の経過により解消する性格のものであり、決算に際しての修正は通常不要である。
不一致の内容は、上記のほかに不正や誤謬も含めて様々なものが考えられる。通常、このような不一致は、売掛金の年齢調べ表の分析や毎月の請求額と回収額との差異分析によって、早期に発見され処理されるはずだが、これらを怠っている場合は、残高差異の原因究明が非常に困難になる。それゆえ、迅速に対応する必要がある。
不一致の原因が解明できないときの対応
どうしても不一致の原因が解明できず、かつ金額的にも少額である場合には、その差異をいつまでも売掛金として残しておかないで、責任者の承認のもとに損失(あるいは利益)として会計処理するのも、実務的に採用されている方法である。
また、残高確認が未回答の場合には、再度確認書を発送するか督促が必要であり、それでも未回答であれば、何か特別の理由があるかもしれない。この場合は、別の手段(たとえば、請求額と回収額の差異分析、受領書のチェック等)で当方の残高の正確性を検証しておく必要がある。
<< 売掛金の残高確認の際の注意点 >>
残高確認の注意点をまとめると、次のとおり。
確認が遅きに失しないように注意する
回収遅延等で気づく場合は別として、年に1回の残高確認ではじめて不良売掛債権の実態が把握されることもある。
決算日の売掛金残高数値について、残高確認書を決算日から1か月ないし2か月後に先方へ発送。さらに1か月後くらいに回答を取り寄せ、結果を集計チェックして責任者に報告するのは、それからまた1か月くらい先になるケースも少なくない。たとえば、3月決算会社なら、5月初旬頃に発送して6月末を回答期限とし、7月ないし8月に集約結果を報告するという段取りになるであろう。
この方式でいくと、2月や3月の債権ならまだしも、前決算日明けの4月に発生した不良債権の場合、その実態が先方との突合せで確認されるのは、翌年の8月頃となる。その結果、当該不良債権に対して迅速な手続きをとることができなくなるので、ふだんからの回収状況のチェックなどが必要になる。
一歩踏み込んだ管理が肝要
残高確認は、100%の回答はなかなか得られるものではない。
回答のあった相手先はよいのだが、問題は未回答の相手先である。返事が来ないのは、不突合があるか不都合があるかなど、残高に問題を抱えていることが考えられる。中には、面倒がったり忘れたりする相手先もあるだろうが、普通、未回答の相手先には、再度回答を求めるべきであり、それでも回答しないというのは要注意である。
また、売掛債権の内容が正しくない場合もあり得る。もし、自社の残高金額が、営業担当者の不手際から、所定回収日の過ぎたもの(つまり滞留売掛金)を含んでいた場合は、先方も残高が一致していると回答してくるであろう。したがって、残高一致の回答をもって安心してはならない。売掛金が実在していることと回収できることは別であり、滞留売掛金はないか、サイトが違っていないかなど踏み込んで分析・管理することが重要である。
最悪の場合、不正を疑うことも
営業担当者が会社に全部または一部を収納せず着服し、先方と結託して作成された残高確認書は、資金的に裏付けのない売掛債権が生じることになる。
したがって、残高確認は、営業担当者ルートとは別で、経理部門が独自に実施すべきである。
著者:木村 隆(公認会計士・税理士)
監修:税理士法人メディア・エス
2013年4月末現在の法令等に基づいています。
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