ビジネスわかったランド (経理)
設備投資
設備投資計画立案のチェックポイントは
まず投資目的や必要性を明確にし、中長期計画との整合性を図ったうえで投資スケジュールや投資効果、必要投資額の検討・見積りなどを行なう。投下資金の回収はもちろん不測の事態への備えについても十分検討することが大切である。
計画立案のチェックポイント
設備投資計画は、会社の戦略的方向を決める重要な計画である。設備投資計画のチェックポイントは、次のとおりである。
中長期計画との整合性をチェック
中長期計画は、単なる将来予測ではなく、将来のために“いま何をなすべきか”を明らかにしたものである。
したがって、設備投資も、会社全体の中長期計画に基づいてその必要性と重要性を検討し、優先度の高いものが選択されなければならない。
投資目的・投資の必要性を明確化
まず投資設備の目的や必要性を明確にしなければならない。具体的には次のとおり。
1.生産量・販売量の拡大投資
2.設備取替投資
3.品質向上・コスト削減の合理化・省力化投資
4.新製品開発
5.情報化投資
6.研究開発投資、公害防止投資など
目的や必要性を明確にすることによって、投資のタイミングや規模、最適な設備などの選択が可能となる。
もし投資目的や必要性を明確にできなければ、これらの選択ができないため、投資対象とならない。
投資スケジュールのチェック
実際に投資して、投資に着手してから稼働後その投資が軌道に乗るまでのスケジュールに無理がないかを確認する。
このスケジュールに無理があれば、投資判断の基礎となる損益や収支の見積りが異なってくるので、十分なチェックを要する。
投資目的の実現可能性のチェック
どんな高性能設備を導入しても、それを稼働させる人材がいなければ無駄な投資となる。生産能力がいくら増えても、それを販売できなければ宝の持ち腐れとなる。
自社の経営資源で投資目的を実現できるのか、経営資源が不足する場合にはどのようにして補うかを明確にする。
投資効果の測定と評価
投資効果は、投資判断の基礎となるものであり、客観的な資料に基づいた慎重な判断が必要となる。
減価償却計算において、耐用年数や処分見込額は、税法で定められた基準によるものではなく、独自の判断で合理的に見積もるべきである。
生産性分析で付加価値をチェック
企業が低成長においても成長発展するためには、“より少ない投資でより多くの付加価値を産出”し、“産出した付加価値を適切に分配”しなければならない。そのため、財務分析の中で生産性分析が、従来にも増して重視されてきている。
そこで、設備投資が労働生産性に与える影響をみると、次の算式により明らかになる。
設備投資によって、一般的には、設備が増加するほどには売上が増えない(固定資産の伸び率>売上の伸び率)ので、固定資産回転率が悪化する。
また、設備が増加するほどには従業員数が増加しない(固定資産の伸び率>従業員数の伸び率)ので、設備装備率は高くなる。
その結果、労働生産性は向上するか否かは、売上の伸び率と付加価値率の向上いかんである。
設備投資によって付加価値率が向上しなければ、生産性が悪化する危険性が大きいので、注意しなければならない。
安全性分析を基に改善策を検討
設備投資に係る資金を外部資金で調達した場合、安全性の指標である自己資本率や固定比率は一時的に悪化する。
指標が一時的に悪化することは何ら問題ではないが、悪化した状態が継続することが問題である。
したがって、大切なことは、一時的に悪化した指標をいつまでにどのように改善するかを検討することなのである。
不測事態の影響をチェック
予定どおりのスケジュールや期待どおりの投資効果が得られなかった場合に、会社全体の損益や収支に与える影響を確認する。
著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2010年8月末現在の法令等に基づいています。
計画立案のチェックポイント
設備投資計画は、会社の戦略的方向を決める重要な計画である。設備投資計画のチェックポイントは、次のとおりである。
中長期計画との整合性をチェック
中長期計画は、単なる将来予測ではなく、将来のために“いま何をなすべきか”を明らかにしたものである。
したがって、設備投資も、会社全体の中長期計画に基づいてその必要性と重要性を検討し、優先度の高いものが選択されなければならない。
投資目的・投資の必要性を明確化
まず投資設備の目的や必要性を明確にしなければならない。具体的には次のとおり。
1.生産量・販売量の拡大投資
2.設備取替投資
3.品質向上・コスト削減の合理化・省力化投資
4.新製品開発
5.情報化投資
6.研究開発投資、公害防止投資など
目的や必要性を明確にすることによって、投資のタイミングや規模、最適な設備などの選択が可能となる。
もし投資目的や必要性を明確にできなければ、これらの選択ができないため、投資対象とならない。
投資スケジュールのチェック
実際に投資して、投資に着手してから稼働後その投資が軌道に乗るまでのスケジュールに無理がないかを確認する。
このスケジュールに無理があれば、投資判断の基礎となる損益や収支の見積りが異なってくるので、十分なチェックを要する。
投資目的の実現可能性のチェック
どんな高性能設備を導入しても、それを稼働させる人材がいなければ無駄な投資となる。生産能力がいくら増えても、それを販売できなければ宝の持ち腐れとなる。
自社の経営資源で投資目的を実現できるのか、経営資源が不足する場合にはどのようにして補うかを明確にする。
投資効果の測定と評価
投資効果は、投資判断の基礎となるものであり、客観的な資料に基づいた慎重な判断が必要となる。
減価償却計算において、耐用年数や処分見込額は、税法で定められた基準によるものではなく、独自の判断で合理的に見積もるべきである。
生産性分析で付加価値をチェック
企業が低成長においても成長発展するためには、“より少ない投資でより多くの付加価値を産出”し、“産出した付加価値を適切に分配”しなければならない。そのため、財務分析の中で生産性分析が、従来にも増して重視されてきている。
そこで、設備投資が労働生産性に与える影響をみると、次の算式により明らかになる。
設備投資によって、一般的には、設備が増加するほどには売上が増えない(固定資産の伸び率>売上の伸び率)ので、固定資産回転率が悪化する。
また、設備が増加するほどには従業員数が増加しない(固定資産の伸び率>従業員数の伸び率)ので、設備装備率は高くなる。
その結果、労働生産性は向上するか否かは、売上の伸び率と付加価値率の向上いかんである。
設備投資によって付加価値率が向上しなければ、生産性が悪化する危険性が大きいので、注意しなければならない。
安全性分析を基に改善策を検討
設備投資に係る資金を外部資金で調達した場合、安全性の指標である自己資本率や固定比率は一時的に悪化する。
指標が一時的に悪化することは何ら問題ではないが、悪化した状態が継続することが問題である。
したがって、大切なことは、一時的に悪化した指標をいつまでにどのように改善するかを検討することなのである。
不測事態の影響をチェック
予定どおりのスケジュールや期待どおりの投資効果が得られなかった場合に、会社全体の損益や収支に与える影響を確認する。
著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2010年8月末現在の法令等に基づいています。
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