ビジネスわかったランド (経理)

設備投資

新規事業計画の立て方は
 まず新規事業のコンセプトを明確にすることが必要。そのうえで目標売上や事業立ち上げの期限を絞り込み、事業化推進に必要な条件を整理する。その後、事業スケジュールの立案、財務計画による裏付けを行なう。

新規事業計画の必要性
既存事業の売上拡大やコストダウン努力により利益確保について大きな期待ができない場合、会社が将来とも成長を持続するためには新規事業への参入しかない。
ところが、新規事業の必要性は認識していても、なかなか具体化しないのが現実である。
あるいは、単なる思いつきのアイデアや他社の成功事例をヒントに新規事業に参入したものの失敗したり、次から次へと新事業に手を出したもののいずれも成功せずに、本業の好調な業績を悪化させたりするケースも少なくない。
これらのケースに共通するのは、新規事業へ参入する目的が漠然としており、参入に先立ってその是非を検討するための徹底した情報収集と分析が欠けていることである。目標となる金額や期限もなく、事業を推進した場合に必要な投資額やコスト、採算性も不明である。
したがって、新規事業への参入を決断して実行し、軌道に乗せるためには、事前に綿密な新規事業計画を作成しなければならない。

新規事業計画作成の目的
新規事業計画を作成する目的は、次のとおりである。


新規事業計画作成のプロセス
新規事業計画は、次のプロセスで作成する。


事業コンセプトの明確化
事業コンセプトが漠然としたまま事業計画を策定しても、有効に機能するはずもなく、まったく無意味である。まずは、新規事業を推進する目的や必要性を明確にする。そして、徹底した情報収集と分析によって新規事業の有効性を検証したうえで、事業コンセプトを明確にすることが最優先課題となる。
次に、新規事業の目標となる金額や期限を明らかにし、事業化推進に必要な条件を整理する。そして、これらの目標や必要条件が、自社の経営資源で実現可能か否かを判断し、不足する場合は補充する方法とその可能性について検討する。

事業スケジュールの立案
明確な事業コンセプトのもと、事業化推進の目標や必要条件が具体化できれば、事業スケジュールを立案する。
事業推進のステージごとに、次のそれぞれについて具体的なプログラムを設定する。
・開発活動
・販売活動
・購買活動
・生産活動
・人員計画
・設備計画
・資金計画

財務計画による裏付け
立案された事業スケジュールは、財務計画(利益計画と資金計画)によって裏付けることが重要である。
とくに、資金の裏付けは重要であり、次の事項について十分な検討を要する。


説得力のある事業計画
新規事業計画を説得力ある内容にするためには、次の点に留意する。
1.ターゲットの絞込み
2.ステージごとのプログラム
3.客観的評価による裏付け
4.不測事態の最悪シミュレーション
5.撤退基準(ルール)の設定

税法の特例制度の利用
設備計画や開発活動などについては、税法の特例措置が適用できるか否か、公的資金の利用ができないか、などについても検討する必要がある。
税法では、たとえば、次の特例措置(租税特別措置法など)が設けられている。
1.事業基盤強化設備の特別償却又は法人税額の特別控除
2.エネルギー需給構造改革推進設備等の特別償却又は法人税額の特別控除
3.事業革新設備の特別償却

著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2010年8月末現在の法令等に基づいています。