ビジネスわかったランド (経理)
売上、売掛金の管理
ダンレポートの読み方は
Rating(格付け)、Payment(支払情報)、UCC Filing(公的登録情報)、Banks(銀行照会)4項目に重点着目する。
全世界で最も普及している信用調査レポートが、D&B社の『ダンレポート』(Business Information Report)である(図表のサンプル参照)。
ここでは、限られた時間のなかで迅速な与信判断を下すために、最も効率的なレポートの読み方を解説しよう。『ダンレポート』については、現在、東京商工リサーチとダンアンドブラッドストリートTSRが日本での窓口となっており、両社か入手できる。
注目すべき4項目
まず、次の4点に着目することが重要である。そして、この4点を見る優先順位もこの順序になる。また、Financial Statements(財務諸表)を入手している場合は、財務諸表も分析するのは当然である。
(1) Rating(格付け)
(2) Payment(支払情報)
(3) UCC Filing(公的登録情報)
(4) Banks(銀行照会)
では、この4点の見方について、順を追って説明しよう。
ダンレポートのサンプルは、次の図表のとおりだが、まず、レポートの1ページ目の上3分の1程度をHeading(ヘディング)と呼ぶ。これは見出し部分で、レポートの要約がここにすべて記載されている。基本的にHeadingを見れば、最低限必要な情報はすべてわかる。
<ダンレポートの1ページ目(サンプル)の内容>
(1) 初め3分の1はHeading。
ダンズナンバー、社名、所在地、格付け、創業日、売上、利益、従業員数、業歴、社長名などが示される。
(2) SPECIAL EVENTS
ここ数年の経営上の特記事項が記される。ここでは震災の影響が記されている。
(3) CUSTOMER SERVICE
より詳しい内容の問い合わせ方法など(調査対象国の国内顧客向け)。
(4) レポートは、このあとPAYMENT SUMMARY、FINANCEなど、詳細な分析結果が記されている。
<用語>
・Statement Date=決算書の日付
・SIC No.=Standard Industrial Classification Number(米国産業標準分類番号)
・Started=設立年
・Worth=純資産
・Employs=従業員数
・History=社歴
・Clear=経営陣、会社に問題となる経歴がない
・Financing=融資条件
・Secured=担保付き
・Financial Condition=財務状態
・Fair=平均的
Company Name とダンズナンバーをチェック
当り前のことだが、まずは企業名を確認する。自分が依頼した調査対象企業に間違いないかを、十分に確認する。自分が調査を依頼した企業ではないことに気づかずに、レポートをさんざん熟読、検討したあとに、まったく違う会社のレポートを取得したことに気づく人も少なくない。
米国、英国の企業であれば簡単に見分けがつくと思うが、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル語圏の会社になると似た会社名でまったく異なる企業の調査依頼を出してしまうケースもよくある。そうしたことを避けるために一番確実なのが、『D-U-N-S Number(R)』(Data Universal Numbering System Number=ダンズナンバー)による依頼である。
ダンズナンバーをよく知らない人のために、ここで簡単に説明しておこう。ダンズナンバーは、全世界統一基準でD&B社が発行・管理する9桁の企業識別番号である。全世界1億件超の事業所の企業の本社・支店に重複なく付与してあり、番号自体には意味がないというユニークな特性がある。
さらに企業の親子・系列関係を網羅したリンケージ機能があるため、各企業の全世界統一の取引先コードとして採用されることが増えている。電子商取引においても主要な役割を担うグローバル・スタンダードの企業コードであるといえる。
米国では、このダンズナンバーを連邦政府調達部が調達先の企業コードとして採用しているので、政府取引を開始する際に必要な取引申請書には調達先企業のダンズナンバーを記載する欄が設けられている。こうした取組みが、オーストラリア、カナダなどでも行なわれている。また、国連やISOなどでも、企業番号として推奨されている。
会社名を確認するときに、一緒に会社形態も確認する。日本には株式会社、合資会社、合名会社、個人事業など複数の会社形態があるが、海外でもその国の商法に応じて、これと同じような会社形態がある。主要国の会社形態は覚えておくとよいだろう。
また、正式社名ではなく、通称や略称でしか取引先名を知らないケースもあるだろう。名刺に記載されている社名や、レターヘッドに印刷された社名を正式社名だと勘違いしている場合も多い。
『ダンレポート』では、正式社名の下に次のような表記を加えてトレードネームであることを示している。
・dba = doing business as
・T/A = trading as
このような表記がある場合は、正式社名ではなくトレードネームだと理解することである。
著者
牧野 和彦(ナレッジマネジメントジャパン株式会社代表取締役、与信管理コンサルタント)
2007年12月末現在の法令等に基づいています。
全世界で最も普及している信用調査レポートが、D&B社の『ダンレポート』(Business Information Report)である(図表のサンプル参照)。
ここでは、限られた時間のなかで迅速な与信判断を下すために、最も効率的なレポートの読み方を解説しよう。『ダンレポート』については、現在、東京商工リサーチとダンアンドブラッドストリートTSRが日本での窓口となっており、両社か入手できる。
注目すべき4項目
まず、次の4点に着目することが重要である。そして、この4点を見る優先順位もこの順序になる。また、Financial Statements(財務諸表)を入手している場合は、財務諸表も分析するのは当然である。
(1) Rating(格付け)
(2) Payment(支払情報)
(3) UCC Filing(公的登録情報)
(4) Banks(銀行照会)
では、この4点の見方について、順を追って説明しよう。
ダンレポートのサンプルは、次の図表のとおりだが、まず、レポートの1ページ目の上3分の1程度をHeading(ヘディング)と呼ぶ。これは見出し部分で、レポートの要約がここにすべて記載されている。基本的にHeadingを見れば、最低限必要な情報はすべてわかる。
<ダンレポートの1ページ目(サンプル)の内容>
(1) 初め3分の1はHeading。
ダンズナンバー、社名、所在地、格付け、創業日、売上、利益、従業員数、業歴、社長名などが示される。
(2) SPECIAL EVENTS
ここ数年の経営上の特記事項が記される。ここでは震災の影響が記されている。
(3) CUSTOMER SERVICE
より詳しい内容の問い合わせ方法など(調査対象国の国内顧客向け)。
(4) レポートは、このあとPAYMENT SUMMARY、FINANCEなど、詳細な分析結果が記されている。
<用語>
・Statement Date=決算書の日付
・SIC No.=Standard Industrial Classification Number(米国産業標準分類番号)
・Started=設立年
・Worth=純資産
・Employs=従業員数
・History=社歴
・Clear=経営陣、会社に問題となる経歴がない
・Financing=融資条件
・Secured=担保付き
・Financial Condition=財務状態
・Fair=平均的
Company Name とダンズナンバーをチェック
当り前のことだが、まずは企業名を確認する。自分が依頼した調査対象企業に間違いないかを、十分に確認する。自分が調査を依頼した企業ではないことに気づかずに、レポートをさんざん熟読、検討したあとに、まったく違う会社のレポートを取得したことに気づく人も少なくない。
米国、英国の企業であれば簡単に見分けがつくと思うが、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル語圏の会社になると似た会社名でまったく異なる企業の調査依頼を出してしまうケースもよくある。そうしたことを避けるために一番確実なのが、『D-U-N-S Number(R)』(Data Universal Numbering System Number=ダンズナンバー)による依頼である。
ダンズナンバーをよく知らない人のために、ここで簡単に説明しておこう。ダンズナンバーは、全世界統一基準でD&B社が発行・管理する9桁の企業識別番号である。全世界1億件超の事業所の企業の本社・支店に重複なく付与してあり、番号自体には意味がないというユニークな特性がある。
さらに企業の親子・系列関係を網羅したリンケージ機能があるため、各企業の全世界統一の取引先コードとして採用されることが増えている。電子商取引においても主要な役割を担うグローバル・スタンダードの企業コードであるといえる。
米国では、このダンズナンバーを連邦政府調達部が調達先の企業コードとして採用しているので、政府取引を開始する際に必要な取引申請書には調達先企業のダンズナンバーを記載する欄が設けられている。こうした取組みが、オーストラリア、カナダなどでも行なわれている。また、国連やISOなどでも、企業番号として推奨されている。
会社名を確認するときに、一緒に会社形態も確認する。日本には株式会社、合資会社、合名会社、個人事業など複数の会社形態があるが、海外でもその国の商法に応じて、これと同じような会社形態がある。主要国の会社形態は覚えておくとよいだろう。
また、正式社名ではなく、通称や略称でしか取引先名を知らないケースもあるだろう。名刺に記載されている社名や、レターヘッドに印刷された社名を正式社名だと勘違いしている場合も多い。
『ダンレポート』では、正式社名の下に次のような表記を加えてトレードネームであることを示している。
・dba = doing business as
・T/A = trading as
このような表記がある場合は、正式社名ではなくトレードネームだと理解することである。
著者
牧野 和彦(ナレッジマネジメントジャパン株式会社代表取締役、与信管理コンサルタント)
2007年12月末現在の法令等に基づいています。
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