ビジネスわかったランド (経理)
設備投資
新製品開発に伴う費用の管理ポイントは
予算の総枠はトップダウンで決め、細目予算は研究開発部門の中でボトムアップで調整する。予算と実績の対比やプロジェクトの進捗状況について、タイムリーな報告がなされるような体制をつくることが管理のポイントである。定期的に研究開発の将来見通しの検討をし、その結果に基づき弾力的に予算の増減を行なうことも必要。
研究開発費を管理する必要性
新製品や新技術の開発で留意すべき問題点には次のようなものがある。
1.投資に対する効果の予測が困難
2.製品ライフサイクルの短縮化
3.マーケティングの重要性
開発のスピードアップと高付加価値化の目標として、効率的に開発を進めていくためには、研究開発費といえどもコントロールしていかなければならない。
コントロールのポイントは、次の3点。
1.計画の策定
2.予算による管理
3.投資効果の評価
研究開発計画の策定
研究開発の効率性を向上するためには、自社の研究開発能力と市場のニーズを勘案して研究開発のテーマを絞り込み、それぞれのプロジェクトごとに研究開発計画を策定することがポイントである。
研究開発計画は、戦略的な未来投資であるため、会社全体の長期計画と整合するものでなければならない。
研究開発費予算の編成
策定された研究開発計画に基づいて、研究開発費予算を編成する。
まずは、研究開発費予算の総枠をトップダウンで戦略的に決定する。その後、次のように決められた総枠の中で、ボトムアップ方式でプロジェクト別や費目別に細目予算を設定し、最終的に経営トップの承認を受ける。
研究開発費予算の総枠の決定方法
研究開発費が戦略的な未来投資であることから、研究開発費予算の総枠は、会社全体の長期計画に基づいて、経営者のトップダウンで設定される。
研究開発費予算の総枠は、売上や利益の一定割合としたり、競合他社の水準を参考にしたりすることが多いようである。
将来の収益を獲得するための未来投資である研究開発費は、現状の収益構造の中から負担すべきものであると考えれば、売上や利益の一定割合を研究開発費に割り当てることも合理的である。
したがって、会社の収益状況等を総合的に勘案して、研究開発費予算の総枠が決定される。もっとも、きわめて戦略的な研究開発プロジェクトを推進しなければならない場合には、その必要性に応じて予算が設定される。
細目予算の編成
トップダウンで決められた予算の総枠に対して、細目予算は研究開発部門の中でボトムアップにより調整する。
個々のプロジェクトを実施するのに必要な直接費についてはプロジェクト別に予算を編成し、研究開発部門に共通の一般費は費目別に予算を編成する。
予算管理のポイント
プロジェクト予算については、各プロジェクトの実施責任者が責任を持つことになるが、予算と実績の対比やプロジェクトの進捗状況についてタイムリーに報告を受ける体制を構築しなければならない。
また、研究開発費予算によって管理する最重要課題は、予算の消化状況ではなく、研究開発の将来見通しにある。したがって、プロジェクト別に定期的な見直しを行ない、見直した結果に基づいて弾力的に予算の増減を行なうべきである。
投資効果の評価
研究開発費は、将来の収益に対する未来投資であるから、投資に対する効果を評価することで、研究開発の効率性を管理することができる。
各プロジェクト別に、売上や利益、付加価値、ロイヤリティ収入などを投資効果として集計し、研究開発にかかるコストの総額と対比することによって、プロジェクト別に採算管理して研究開発の効率性を判定する。
研究開発の投資効率を評価するには、事業化率も重要な指標となる。着手したテーマのうち、どれだけが事業化まで到達したかを評価することで、事業化できなかった投資額を確認できる。
投資効率の向上策
研究開発の投資効率を向上させるための最も重要なポイントは、マーケティングの重視である。
研究開発の初期段階からマーケティングを意識すれば、顧客ニーズにタイムリーに対応したスピーディーな研究開発の必要性に迫られてくる。その結果、研究開発の投資効率も向上する。
また、成功報酬や自由な勤務体制など、研究開発担当者のやる気を引き出すしくみを工夫することも重要である。
会計処理を考える
新製品・新技術の開発のために支出した費用は繰延資産として計上し、5年以内に償却することが会社法で認められているし、全額を当期の費用として処理することもできる。
経費処理か繰延べかは、決算政策によるが、できる限り費用処理が会社の健全性から望ましい。しかし、資金調達などの関係で対資本利益率、配当率が問題にされることもあるので、こうした条件も考え合わせて繰延べか経費処理かを決定しなければならない。
著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2010年8月末現在の法令等に基づいています。
研究開発費を管理する必要性
新製品や新技術の開発で留意すべき問題点には次のようなものがある。
1.投資に対する効果の予測が困難
2.製品ライフサイクルの短縮化
3.マーケティングの重要性
開発のスピードアップと高付加価値化の目標として、効率的に開発を進めていくためには、研究開発費といえどもコントロールしていかなければならない。
コントロールのポイントは、次の3点。
1.計画の策定
2.予算による管理
3.投資効果の評価
研究開発計画の策定
研究開発の効率性を向上するためには、自社の研究開発能力と市場のニーズを勘案して研究開発のテーマを絞り込み、それぞれのプロジェクトごとに研究開発計画を策定することがポイントである。
研究開発計画は、戦略的な未来投資であるため、会社全体の長期計画と整合するものでなければならない。
研究開発費予算の編成
策定された研究開発計画に基づいて、研究開発費予算を編成する。
まずは、研究開発費予算の総枠をトップダウンで戦略的に決定する。その後、次のように決められた総枠の中で、ボトムアップ方式でプロジェクト別や費目別に細目予算を設定し、最終的に経営トップの承認を受ける。
研究開発費予算の総枠の決定方法
研究開発費が戦略的な未来投資であることから、研究開発費予算の総枠は、会社全体の長期計画に基づいて、経営者のトップダウンで設定される。
研究開発費予算の総枠は、売上や利益の一定割合としたり、競合他社の水準を参考にしたりすることが多いようである。
将来の収益を獲得するための未来投資である研究開発費は、現状の収益構造の中から負担すべきものであると考えれば、売上や利益の一定割合を研究開発費に割り当てることも合理的である。
したがって、会社の収益状況等を総合的に勘案して、研究開発費予算の総枠が決定される。もっとも、きわめて戦略的な研究開発プロジェクトを推進しなければならない場合には、その必要性に応じて予算が設定される。
細目予算の編成
トップダウンで決められた予算の総枠に対して、細目予算は研究開発部門の中でボトムアップにより調整する。
個々のプロジェクトを実施するのに必要な直接費についてはプロジェクト別に予算を編成し、研究開発部門に共通の一般費は費目別に予算を編成する。
予算管理のポイント
プロジェクト予算については、各プロジェクトの実施責任者が責任を持つことになるが、予算と実績の対比やプロジェクトの進捗状況についてタイムリーに報告を受ける体制を構築しなければならない。
また、研究開発費予算によって管理する最重要課題は、予算の消化状況ではなく、研究開発の将来見通しにある。したがって、プロジェクト別に定期的な見直しを行ない、見直した結果に基づいて弾力的に予算の増減を行なうべきである。
投資効果の評価
研究開発費は、将来の収益に対する未来投資であるから、投資に対する効果を評価することで、研究開発の効率性を管理することができる。
各プロジェクト別に、売上や利益、付加価値、ロイヤリティ収入などを投資効果として集計し、研究開発にかかるコストの総額と対比することによって、プロジェクト別に採算管理して研究開発の効率性を判定する。
研究開発の投資効率を評価するには、事業化率も重要な指標となる。着手したテーマのうち、どれだけが事業化まで到達したかを評価することで、事業化できなかった投資額を確認できる。
投資効率の向上策
研究開発の投資効率を向上させるための最も重要なポイントは、マーケティングの重視である。
研究開発の初期段階からマーケティングを意識すれば、顧客ニーズにタイムリーに対応したスピーディーな研究開発の必要性に迫られてくる。その結果、研究開発の投資効率も向上する。
また、成功報酬や自由な勤務体制など、研究開発担当者のやる気を引き出すしくみを工夫することも重要である。
会計処理を考える
新製品・新技術の開発のために支出した費用は繰延資産として計上し、5年以内に償却することが会社法で認められているし、全額を当期の費用として処理することもできる。
経費処理か繰延べかは、決算政策によるが、できる限り費用処理が会社の健全性から望ましい。しかし、資金調達などの関係で対資本利益率、配当率が問題にされることもあるので、こうした条件も考え合わせて繰延べか経費処理かを決定しなければならない。
著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2010年8月末現在の法令等に基づいています。
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