ビジネスわかったランド (経理)

設備投資

新製品・新技術開発計画のチェックポイントは
 新製品・新技術の開発に当たってどんな問題点が生じるか洗い出す。研究開発テーマの絞込みの際は、市場性、自社の競争優位性、スケジュール、収益性、安全性等の観点からのチェックが欠かせない。

企業の成長に不可欠な新製品・新技術の開発
新製品や新技術の開発は、将来の収益を獲得するための先行投資であって、会社が存続し成長発展するためには不可欠である。実際、低成長下においても成長を持続する企業の多くは、設備投資に匹敵する金額を研究開発に投資している。
ところが、多くの企業では目先の業務に追われるあまり、新製品や新技術の開発のように当面の業績に直ちに寄与しない先行投資は、先送りにされがちになっている。その結果、伸びる企業との差はますます開くばかりである。
景気が停滞する経営環境ではあるが、新製品や新技術の開発に対して戦略的な投資を積極的に行なうことが期待される。

<< 新製品・新技術開発・販売における問題点 >>

新製品や新技術の開発には、次のような問題点がある。新製品・新技術の開発をコントロールする際に留意しなければならない。

投資に対する効果の予測が困難
おカネをかければかけた分だけよいモノが開発できるかというとそういうわけではなく、投資に対する効果の予測はきわめて困難である。最終的に開発できず、投資がまったく無駄になる可能性もある。
したがって、先行きの見通しがつかない投資は経済計算に馴染まず、企業体力に余裕がないとなかなか踏みきれない。
できるだけ効率的に開発して確実に成果に結びつけることが望まれる。

製品ライフサイクルの短縮化
新製品や新技術の開発のような未来投資に対する成果は、短期的に求めるべきでないといわれてきた。
しかし、技術革新のスピードや顧客ニーズが激しく流動化する環境においては、製品のライフサイクルはどんどん短縮化するため、開発のインターバルも短くなってきている。
また、単純な開発であれば、たとえ一定の成果を得ても、類似品や代替品がすぐに開発されて、先行利潤を得られるのも長くない。
開発のスピードアップと付加価値の高い開発を目標とすることが重要である。

マーケティングの重要性
いくら画期的な新製品や新技術でも、市場に認められなければ、その開発に投下した資金は回収できないのである。
一般的に、開発担当者は、開発に費やしたすべてのコストを回収することに対する理解が不足していることが多い。
常に、投下したコスト以上の成果を得て投下資金を回収しなければならず、新製品や新技術の開発も例外ではないことを徹底させなければならない。
開発の初期段階からマーケティングを意識することは、きわめて重要である。

<< 研究開発に当たっての留意点 >>

研究開発テーマの絞込み
会社内で新製品や新技術の開発に取り組む場合、マーケティングを強く意識しながら、開発のスピードアップと高付加価値化を目標に、効率的に行なわなければならない。
そのためには、限られた経営資源が分散しないように、研究開発テーマを絞り込むことが重要である。
研究開発テーマの絞込みでは、単にテーマの内容だけでなく、開発対象となる新製品や新技術の市場性、自社の競争優位性、スケジュール、収益性、安全性等に留意したい。


情報収集の徹底
新製品や新技術の開発では、開発担当者や経営者が独りよがりの判断に陥りやすいので、注意する必要がある。
企画部門や経理財務部門の担当者自身が、徹底した情報収集を行なって客観的に評価しなければならない。

税法の特別措置のチェック
新製品や新技術の開発に当たっては、促進措置として、たとえば次の税額控除措置があるので、その利用を検討する必要がある。
なお、特に平成21年度の税制改正で研究開発税制の拡充が図られているので注目したい。
1 試験研究費の総額に係る税額控除制度
2 特別試験研究(※)に係る税額控除制度
3 中小企業技術基盤強化税制
4 試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度
  ※産学官連携の共同研究・委託研究等

著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2010年8月末現在の法令等に基づいています。