ビジネスわかったランド (経理)

売上、売掛金の管理

海外取引先の与信取引申請書の作り方は
 市販の様式をベースに自社のニーズに合致したものを作り、活用する。
新規に取引を開始する場合、取引先に記入してもらう(取引先等に聞いて自社で記入する)のが、Credit Application(与信取引申請書)である。これは、売掛口座開設依頼書や単なる申込書の場合もあるが、目的はどれも同じで、取引先を審査するためのツールとなる。

申請書の作成ポイント
ごく一般的な与信取引申請書を図表として掲げた。これは米国の書店等で一般的に販売されているものを若干アレンジした程度の帳票なので、これをベースに自社で応用し、ニーズに合致したものを作成するとよい。


作成のポイントは、次のとおりである。
・必要な情報が盛り込まれているか
・顧客はこの情報提供に協力的か
・顧客が情報提供しやすいように工夫されているか
・顧客はこの情報の必要性を理解しているか
・この情報取得は合法的か

記載項目と留意点
申請書に最低限必要な記載項目は、次のとおりである。
(1) 正式社名
(2) 所在地
(3) トレードネーム
(4) 企業形態
(5) 登記上の住所
(6) 担当者名、部署、役職
(7) 購買担当者名
(8) 電話・FAX番号、電子メールアドレス
(9) オーナー・経営者・パートナー・株主の名前、住所、電話・FAX番号
(10) 銀行名、所在地、電話・FAX番号、電子メールアドレス、口座番号
(11) トレード・レファランスの企業名、担当者名、所在地、電話・FAX番号、電子メールアドレス
(12) 商品・サービス名
(13) 財務諸表の有無
(14) 財務情報
(15) 与信取引額
(16) 月間平均購買額
記入・作成上の留意点は、次のとおり

(1) 企業形態
上掲の図表の様式は米国のものだが、その他の国の企業の場合もあるので、記入式にしたほうが無難である。
(2) 担当者の情報
海外の購買・経理担当者は、転職することが多い。そのため、担当者だけでなく、その上司、部門長、担当役員の名前や連絡先も当初から入手したい。
(3) ID番号
中小企業の場合は、代表者のID番号、生年月日は重要。米国では、社会保障番号をつかんでいれば、どの州に逃げ込まれても追跡できる。
(4) トレード・レファレンス
最も重要な項目といえる。3~5社に求めるのが一般的。時差の関係もあるので、TEL番号よりFAX番号・メールアドレスを記入してもらう。
(5) 財務情報
できれば3年分。入手できなくても、最近の売上高、純利益、自己資本額くらいは最低限でも記入。

著者
牧野 和彦(ナレッジマネジメントジャパン株式会社代表取締役、与信管理コンサルタント)
2007年12月末現在の法令等に基づいています。