ビジネスわかったランド (経理)
現金、手形等の管理
電子手形の取扱いは?
電子記録債権(電子手形)の概要
従来の手形法に基づく手形債権は、手形自体の作成・保管にかかるコストや印紙税の負担、および紛失・盗難のリスクなど問題を抱えているため、その利用は年々減ってきているといわれています。
このような状況の中、電子記録債権法(平成19 年法律第102 号)が、平成19年6月27日に公布、平成20年12月1日に施行され、従来の手形や債権譲渡に係るリスクやコストを削減し、売掛債権などを有する事業者の資金調達の円滑化を図るために、債権の内容を電子的な記録によって管理する電子記録債権制度(電子手形)が創設されました。
電子記録債権(電子手形)とは、その発生または譲渡について、電子記録(磁気ディスク等をもって主務大臣の指定を受けた電子債権記録機関が作成する記録原簿への記録事項の記録)を要件とする金銭債権であり、紙媒体ではなく電子記録により発生し譲渡され、分割が容易に行なえるなどのメリットをもった新しい類型の金銭債権です。
電子手形(売掛金に関連して電子記録債権を発生させた場合)の会計処理
電子手形(電子記録債権)は電子記録債権法に基づく新たな類型の金銭債権であり、手形法に基づく従来の手形債権とは違うものですが、制度化にあたっては手形債権の代替として機能することが想定されており、会計処理上は、今後も並存する手形債権に準じて取り扱います。
(1)債権者側の会計処理
1 (元債権の発生)
商品200 を売った。
(借) 売掛金 200 (貸)売上高 200
2 (電子手形の受取)
発生記録により、電子記録債権200 が発生した。
(借)電子記録債権 200 (貸)売掛金 200
3-1(電子手形の割引)
譲渡記録により、電子記録債権を現金195 と引換えに譲渡した。
(借)現金 195 (貸)電子記録債権 200
電子記録債権売却損 5
3-2(電子手形の裏書)
譲渡記録により、電子記録債権を買掛金200 と引換えに譲渡した。
(借)買掛金 200 (貸)電子記録債権 200
3-3(電子手形の決済)
債権200 が決済された。
(借)預金 200 (貸)電子記録債権 200
(2)債務者側の会計処理
1 (元債務の発生)
商品200 を買った。
(借)仕入 200 (貸)買掛金 200
2 (電子手形の発行)
発生記録により、電子記録債権に係る債務200 が発生した。
(借)買掛金 200 (貸)電子記録債務 200
3 (電子手形の決済)
債務200 が決済された。
(借)電子記録債務 200 (貸)預金 200
貸借対照表上の表示
貸借対照表上、通常の営業取引から生じる電子記録債権は、手形債権と同様に「電子記録債権(または電子記録債務)」等、電子記録債権を示す科目をもって区分掲記します。ただし、その金額に重要性が乏しい場合には、手形債権に含めて表示することができます。
また、貸付金や借入金等に関連して発生する電子記録債権については、現行も証書貸付や手形貸付等に区分掲記していませんので、「貸付金」「借入金」等として表示することになります。
著者
田邉 太郎(公認会計士・税理士)
2011年1月末現在の法令等に基づいています。
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