ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

他の銀行との取引状況も伝えたほうがいいのか?

銀行は、他行の動向や決算書に表れない情報にも注目しているので、他の銀行との取引状況も伝えておくようにしましょう。

●他行との取引状況は隠しようがない?!
銀行は、融資している会社に対する他の銀行の動きにも注意しています。
というのも、他の銀行が積極的に融資に動いたということであれば、遅れまいと追随することもあり、逆に、融資を抑制しているのなら、今度は抑制どころか撤退する動きとなります。
各銀行の融資残高などは、決算書を見ればわかることです。したがって、隠そうとしても隠しようがありません。
ただ、決算書は作成に時間がかかります。でき上がってくるころにはすでに2か月以上経過している過去の数字です。タイムリーなものとはいえないので、銀行員は「現在の融資残高は?」といったことを確認してくるのです。

●メインバンクは知っている?!
なぜ、これほどまでに他行の取引状況を聞いてくるのかというと、銀行は、「世間には知られていない情報を他行が握っているのではないか」と疑心暗鬼になっているからです。
新しい商品開発に成功した、新しい販路を開拓したなどのプラスの要因となる情報を他行がつかんでいるがゆえに、融資に積極的になっていることがあるでしょう。逆に、得意先から取引を停止された、商品の返品が相次いでいるなど、マイナスの要因となる情報を他行がつかんだがために融資の回収にかかっているといったこともあるでしょう。
特に、メインバンクとなる銀行は、他のどこの銀行よりもそういった情報をつかんでいると思われます。メインバンクから中小企業に経理担当部長を出向させているケースもあります。経理部長であれば、社内事情やお金の流れなどの情報を把握していることでしょう。
したがって、銀行側は、メインバンクの動きには注視する必要があるのです。

●メインバンクにはなりたくない?!
かつての銀行には、「預金も融資も当行で」と、メインバンクになって企業を支援しようという姿勢がありました。しかし、昨今のように企業の倒産が相次ぐと、「メインバンクは最終的に責任を負わされるから、できれば避けたい」というのが銀行の本音になっています。
他行に比べて融資の比率が高まっているとなれば、融資を抑制しようとします。「メインは当行に!」は、もはや過去の話です。

著者
石橋 知也(資金調達コンサルタント)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。