ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

銀行員がお金を貸したくなる会社とは?

"5つの社会的使命"を果たせそうかどうかで判断されます。


●“貸したお金を返してもらうまで”が銀行員の仕事
銀行とは「お金を貸すのが仕事」と思われている方も多いのですが、実はそうではありません。正確には「お金を貸して、その貸したお金を利息も含めて返してもらうまでが仕事」なのです。
私は、「融資」は「U資」とお客様には話しています。貸したお金をブーメランのごとく、Uの字のように返してもらうものだということです。このような考え方は、銀行員ならば必ず持っています。


●新入行員が学ぶ“5つの社会的使命”
銀行員がお金を貸したくなる会社というのは、「貸したお金を、利息を含めて確実に返済してくれる会社」です。
入行後の研修では、まず、銀行の社会的使命として、「流動性」「成長性」「収益性」「安全性」「公共性」の5つを学びます。
本来は、銀行自身がこの5つのことを目指すというものなのですが、同時に、顧客側である企業にもこれを求めています。
つまり、現金などの換金性の高い「流動性」の資産をたくさん持ち、事業そのものに「成長性」があり、かつ「収益性」があって、倒産の危機のない「安全性」も備え、社会に役立つ「公共性」のある会社は、銀行としても応援しやすいのです。
これ以外に、現場の営業担当としては、「前向き」で「プラス思考」の社長さんのところには人が集まることもあり、このような経営者を大切にしようとします。
なぜなら、銀行の営業の仕事はノルマに追われ苦しいことも多々あるのですが、前向きに働いている人の話を聞くと、勇気づけられて仕事を頑張ろうというプラスのエネルギーをもらえるからです。
加えて、そういう元気な人の下には、たくさんの情報も集まります。「3丁目の空き地の物件を欲しがっている会社がある」とか、「○△商会が、こんど中国に進出するようだ」といった融資につながりやすいネタが集まるのです。


●銀行員がお金を貸したくない会社になるな!
これらの正反対である「反流動性」「反成長性」「反収益性」「反安全性」「反公共性」の企業は、銀行員からは避けられ、融資もストップされてしまうことになります。
当然、こういった企業の経営者は例外なく「後ろ向き」で「マイナス思考」です。彼らと話をしても、愚痴を聞かされるだけで面白くないため、銀行員の足は遠のくことになるのです。

著者
石橋 知也(資金調達コンサルタント)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。