ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

運転資金としての融資を受けるには、どんな説明をすればいいのか?

使い途や具体的な金額が出せると効果的です。

●運転資金の具体的なイメージをもって説明しよう
「運転資金」は「設備資金以外の資金」であるということは「運転資金としての融資は受けにくいのか?」項で述べたとおりですが、その具体的なイメージを銀行員に伝える必要があります。「支払資金」というだけでは、何に対する支払なのかイメージできません。
通常、売上金の回収と仕入先への支払にはタイムラグがあります。たとえば、衣料品店の場合、冬物は夏から秋にかけて仕入れますが、売上金が計上できるのは秋から冬にかけてとなります。そういったケースだと、売上金という収入を得るよりも前に、仕入れた衣料品の代金を支払わねばならず、そのために資金が必要となります。
したがって、「売上金回収と仕入金支払のタイムラグによる支払資金」とすれば、「運転資金」と漠然と説明するよりも具体的になり、銀行員もイメージしやすいはずです。このように、「資金使途」が具体的になれば、末端の銀行員から上司へも伝わりやすくもなるものです。

●「資金使途」の説明は、「返済方法」や「返済原資」の説明も可能
さらに、「資金使途」が具体的になればなるほど、「返済方法」や「返済原資」も具体的になるという相乗効果も期待できます。
なぜなら、「売上金回収と仕入金支払のタイムラグによる支払資金」ということであれば、売上金回収の時期や売上金額が多少なりとも明確になってきます。先の衣料品店では、秋から冬にかけて計上される売上の予測が立ち、あとは決算書や過去の実績などと照らし合わせれば、実際に返済が可能かどうか、売上予測そのものに無理がないかどうかが判断できることになります。

●銀行員は具体的な「数字」が大好き
さらに「数字」を使えばもっと具体的になります。「売上金回収と仕入金支払のタイムラグによる支払資金」を、「売上金回収と仕入金支払の4か月タイムラグによる支払資金」とするなどの工夫があれば、銀行にもっと伝わりやすくなるでしょう。
ほかにも、単に「支払資金」とするのではなく「仕入先10社に対する支払資金」など、具体的な数字を用いると効果的です。
銀行員は、こういった具体的な「数字」が大好きなので、この職業病ともいえる習性に沿って説明すれば、末端の銀行員から銀行本部の役員まで、スムーズに伝わっていくことでしょう。

 

著者
石橋 知也(資金調達コンサルタント)