ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

資料と面談、どちらが重視されるのか?

資料のほうが面談より重視されますから、伝えたい内容はすべて書面に反映させるようにしましょう。

●運転資金の具体的なイメージをもって説明しよう
「面談」に気合を入れてもしかたがない
「書類」と「面接」とではどちらのウエイトが重いか、とよく聞かれます。結論からいうと、融資の際には「書類」が重視されています。「面談」は重視されていません。
これを勘違いされる経営者が非常に多いです。
というのも、「銀行内での稟議のポイントの押さえ方は?」項で説明したとおり、融資の稟議で送られるのは書面だけです。仮に、経営者自身が担当の銀行員に事業への思いや新製品にかける情熱などを熱く語ったとしても、それらは担当の銀行員で止まってしまったり、彼(場合によっては彼女)の上司に正確に伝わらないこなど、実は日常茶飯事なのです。

●銀行の稟議は「伝言ゲーム」
まさに、これは「伝言ゲーム」と同じです。つまり、経営者が伝えたい内容、漏れることなく伝えてほしい内容は、書類にしないと伝わらないものだと認識しておかねばなりません。
また、公的な金融機関などでは必ず面談がありますが、この意味を勘違いしている経営者がたくさんいます。この面談は本来、「意思確認」のために行なうものです。つまり、借金をするのは、他人ではなく申し込み者本人で間違いがないかといったことを、免許証などの提示を受けて確認しておくためです。後日、「オレはそんな借金をした覚えがない」というトラブルを避けるために面談しているのであり、それが本来の目的なのです。

●面談の本来の意味を認識すべし
ところが、ここぞとばかりに事業に対する情熱を語ったり、新商品の発表会のような意気込みで銀行に来られる人がいます。しかし、冷静に考えてほしいのが、15~30分程度の会話といえども、その内容をたとえ半分であっても覚えるのは困難です。さらにいうと、金融機関側が聞いておきたい内容と、経営者側が聞いてほしい内容というのはほとんどの場合、ズレがあります。
経営者側が聞いてほしい内容というのは、経営に対する自慢話であったりとか、新商品のすばらしさといったところです。
しかし、残念ながらというか当然というか、金融機関が聞きたいのは、あくまでも「貸したお金をどのように返してくれるのか」ということであって、会社の自慢話ではありません。
面談の本来の意味を理解し、伝えたいことは書類で伝えるようにしてください。

著者
石橋 知也(資金調達コンサルタント)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。