ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

資金繰りがラクにならない最大の理由とは?

赤字であっても、資金調達ができることがあります。事業計画書によって銀行に応援してもらいましょう。

●運転資金を7年で返すほうが異常
本来、運転資金とは「短期」資金です。銀行のいう「短期」とは、1年以内のものをいいます。
運転資金で代表的な「仕入資金」について、衣料品店の場合で考えてみます。たとえば、冬物のコートは夏から秋にかけて仕入れるのですが、そのために運転資金を銀行から調達し、冬から春にかけて販売したお金で返済するというように、通常は3~6か月程度で返済していくものなのです。
ところが、信用保証協会の保証付きの融資などでは、運転資金の返済が数年前までは5年だったのですが、いまや7年が常識となっています。来月の支払資金が不足するからと、短期資金の調達目的で運転資金を借りたのにもかかわらず、それを7年かけて返済していくという、異常な資金繰りとなっているわけです。

●真綿で首を絞める「長期運転資金」
こんな返済のしかたをしていては、来月は融資を受けてしのげたとしても、再来月以降の支払はどうするのかが大いに疑問です。ましてや、再来月以降は融資の返済も始まるため、この月々の返済負担が真綿で首を絞めるが如く、のしかかってくることは目に見えています。
きっと7年間の返済期間中に、再度、運転資金を調達しなければならず、その結果、雪だるま式に借金が増えて、借金で借金を返す資金繰りとなってしまうのです。
長期運転資金こそが、中小企業を苦しめている最大の要因といっても過言ではありません。私は、長期運転資金を借りるのは、極力、避けるべきだと思います。

●「長期運転資金依存症」は麻薬と同じ
長期運転資金は一度使い始めるとやめられない「麻薬」のようなもので、どこかで断ち切らなければなりません。
現在の銀行は、簡単に「ハシゴ」をはずします。貸すだけ貸して登らせておいて、いざ資金が必要なときに「もうこれ以上は無理」と融資を打ち切られたなどという話は数えきれません。ハシゴをはずされても、もちろん借金だけは残ります。
銀行のいうことを聞いても、困ったときに助けてくれる保証はありません。融資を引き出したいのなら、まずは、借入金を減らして決算書の内容がよくなるように本業で頑張るのが先決です。

 

著者
石橋 知也(資金調達コンサルタント)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。