ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

担保や保証人は必要か?

最悪の事態を想定すると、担保や保証人は必須といえますから、これらについて確認しておきましょう。

●担保があるから必ず融資を受けられるわけではない
かつての銀行の融資は、とにかく「担保」が必要でした。「お金を貸してください」と窓口にいけば、決まって「担保はありますか?」と聞き返されたものです。
しかし、銀行が融資と引き換えに担保にとったものの、その担保となる土地や建物が、すでに他の借金の抵当に入っているため担保価値を見いだせなかったり、また、競売などで処分するにもかなりの時間がかかるという事情があります。
ですから今日では、銀行にとって担保は「なければ融資をしにくい」ものの、「あるから融資ができる」という絶対的な存在ではなくなってきています。むしろ、銀行は、担保を換金処分するのを前提に融資するのではなく、あくまでも本業の収益から返済してもらおうと考えています。したがって、担保にとった土地や建物を処分するというのは、銀行側も顧客側も望んでおらず、やむにやまれない最悪の事態を想定してのことです。最初から“処分ありき”ではありません。

●連帯保証人も最悪の事態を想定しているからこそ
「担保」と同じく、「連帯保証人」も最悪のケースを想定して立てるものです。つまり、本業で収益を得ることができず返済不能となった場合に、連帯保証人から融資金を返済してもらおうという狙いです。
一時、保証人からお金を巻き上げる「保証人ビジネス」なる言葉も聞かれたことがありましたが、銀行は保証人からお金を巻き上げることを目的としていません。「担保」と同様に、実際にお金を借りたわけでもない連帯保証人から融資金の返済をしてもらうというのは、銀行側も顧客側も望んでいません。やはり、最悪の事態に備えるためなのです。

●無担保・無保証融資には延滞が多く発生している
「貸し渋り」という言葉が流行った平成9年に、信用保証協会の保証付き融資で、無担保・無保証人でもOKという「金融安定化融資」というものができ、申し込み者が殺到したことがあります。
本当に行列ができたこの融資制度ですが、当初の懸念どおり、安易にお金を借りることができたせいか、延滞もよく発生しました。平成12年に銀行が発売した無担保・無保証人型のビジネスローンでも、やはり貸倒れが増加しており、今後は、このような無担保・無保証人型の融資については、審査が厳しくなるものと予想されます。
担保は不動産がないと提供できないこともあり、今後、融資を受けるときには連帯保証人は必須となるか、もしくは、事業の将来性が注意深く吟味されることになるでしょう。

 

 

著者
石橋 知也(資金調達コンサルタント)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。