ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

聞かれたことには、すべて答えたほうがいいのか?

聞かれたことにはできるだけ答えるようにし、情報開示に努めて痛くもないハラを探らせないようにしましょう。

●質問にはできる限り答えよう
いつのころからか、「情報開示」ということが強く叫ばれるようになりました。政治・行政の世界や会社経営など、はたまた中学校の内申点まで、いまや情報開示をして当たり前の世の中です。
開示が当たり前という流れができてしまった以上、逆に開示しないのは、「何かやましいことがあって隠している」というようにしか思われないことになります。
銀行員と融資の交渉をしていると、「この利益の金額ですが、昨年から大きく増えていますが何か要因は?」といった質問を受けることがあるでしょうが、とにかく質問されたことに答えられないことには、ただ怪しまれるばかりです。

●プライベートな質問にも、できれば答えよう
なかには答えにくい質問もあると思います。
特に、売上や利益の細かい数字を要求されるなど、税理士に聞かないとわからない質問には、正直に「税理士に確認して後日お答えします」と返答すればいいでしょう。そういったケースでは、銀行員も多少怪訝な顔をするかもしれませんが、実際には特に珍しいことではないので、後日返事をすれば問題ありません。
ほかにも答えにくい質問はたくさんあります。たとえば、過去にあったケースとして、社長と社長夫人の仲が険悪であったことなど、プライベートに関する質問などは、やはり答えにくいだろうと質問する銀行員のほうでも思っています。
プライベートなことは特に答える必要はないと思います。法的にも答える義務はないでしょう。ただし、社長と社長夫人の仲が険悪で、経営の実権は社長が持っているものの、財務の実権は社長夫人が握っていたりすると、前に進む話も前に進まなくなります。このような場合は結局、「総合的な判断により融資をお断りします」といった最悪な事態を招くこともあります。ですから、無理に公開しなくとも、できる限り質問には答えていきたいものです。

●銀行員には守秘義務がある
そもそも銀行員には、職務上知りえた秘密を守らなければならないという「守秘義務」があります。もちろん、これは銀行員に限った話ではありませんが、それでも特に、顧客の資産状況などを知り得る銀行員には、「守秘義務」の遵守が強く要求されることは当然のことです。
世間には信用の置けない銀行員もいるでしょうが、疑っていても前に進まないので、まずは銀行員への「情報開示」を心がけてください。


 

著者
石橋 知也(資金調達コンサルタント)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。