ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

文章を「分かりやすく伝える」テクニック

「これ」「それ」は直前の言葉を指す
「これ」「それ」「あれ」、「ここ」「そこ」「あそこ」などの指示代名詞は、しばしば読み手に混乱をもたらします。誰が読んでも誤解の余地のない直前の言葉を指すときにのみ、指示代名詞を使うべきです。
祖父が入院したのは2カ月前のことである。それまで元気だったが、急激に痩せてしまったのである。そんな祖父を見て、皆が心配し病院に行くように勧めていた。しかし病院嫌いで頑固な祖父は、一向に病院に行こうとしなかった。
この文章の前半を読んだ人は、ほぼ例外なく「祖父は入院した2カ月ほど前に急に痩せたのだろう」と考えるでしょう。
ところが後半を読むと、それではつじつまが合いません。急に痩せてからずいぶん長い間、祖父は病院に行くのを拒んでいたと書かれているからです。
これを書いた人は、「以前は元気だった」というような軽い気持ちで「それまで」と書いたのでしょうが、このような使い方は禁物です。
事実に即して、たとえば「入院する3カ月くらい前から急激に痩せてしまったので、皆が心配して病院に行くように勧めていた」というふうに書けば、誤解が生じません。