ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

文章を「分かりやすく伝える」テクニック

明確な「つなぎ語」を使う
因果関係を表わすときに、日本人は婉曲的に少し曖昧に書きたがる傾向を持っています。それを私は「曖昧接続」と呼んでいます。
  • 私はこのようなトレーニングに参加したことがなく、大変参考になった。
  • 私はこのようなトレーニングに参加したことがなかったので、大変参考になった。
  • このような発表を前にも試みており、戸惑うことがなかった。
  • このような発表を前にも試みていたので、戸惑うことがなかった。
  • 中小規模の書店の売上は、雑誌が大きな割合を占め、コンビニとの差別化が重要になっている。
  • 中小規模の書店の売上は、雑誌が大きな割合を占めるので、コンビニとの差別化が重要になっている。
これ以外にも、「事件が発生」「賛成を得られ」のような曖昧な表現で原因を表わすのは避けるべきです。もちろん最後まで読めば理解はできるのですが、はっきりと「……なので」と書くか、「したがって」「よって」「ゆえに」などのつなぎの言葉でそれを示したほうが明快です。
  • 自動車産業はかつて「産業の中の産業」と呼ばれ、高い成長力と収益力を誇る中、人々の生活スタイルにも大きな影響を与えてきたが、今逆風に直面している。
  • 自動車産業はかつて「産業の中の産業」と呼ばれ、高い成長力と収益力を誇る一方で、人々の生活スタイルにも大きな影響を与えてきたが、今逆風に直面している。
前項(ぼやかして書かない)にもありましたが、「中」は、前後を曖昧につなぐ言葉として使われる傾向があります。
この場合、「誇る中」を不適切とまでは言い切れないかもしれませんが、「産業として栄えた」という事実と、「人々の生活スタイルに影響を与えた」という事実は別個のものですので、「中」ではなく、「一方で」のような表現のほうがより適切だと思います。あるいは単純に「誇り、」と続けてもいいと思います。