ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

文章を「分かりやすく伝える」テクニック

話は1つずつすませる
これは、少し長い文章の構成に関する問題です。議論すべき点がいくつかあるときには、話を1つずつすませるようにしましょう。
小学生の子供を長期入院させているお母さんが、看護師長に3つの要望を出そうとして文書にまとめました。その要点は、次のようなものでした。
 

(1)親がいないときに回診があった場合には、先生の診断結果を看護師から聞かせてほしい。

(2)面会する親が飲食できるスペースを看護センターの近くにつくってほしい(子供の目につく所で飲食することは禁じられているので、面会中は飲み食いができない)。

(3)学童の生活指導、学習指導について、配慮がほしい。

どの要望も、「なるほど」と思うようなもっともなものでした。
しかし、この要望書の原文には構成上の問題がありました。
1.現状分析 (1)(2)(3)
2.現状分析からみた改善の課題 (1)(2)(3)
3.課題別改善策 (1)(2)(3)
4.結論 (1)(2)(3)
5.所感
のように、各要望が、1~5に分けて書かれていたのです。これでは、どれか1つの問題について考えるために、飛び飛びに5カ所読まねばなりません。
3つの問題は、相互に関連の薄い別個のものでしたから、
<要望1> 医師の診断結果の親への説明について(現状、改善案) 
<要望2> 面会中の飲食について(現状、改善案)
<要望3> 学童の生活支援について(現状、改善案)
と構成し直してみたら、分かりやすくなりました。1つひとつ問題を話し合うにも、そのほうが好都合だと思います。

ある企業で文章指導したときにも、2つの提案を、
提案 (1)(2)
背景(課題・原因) (1)(2)
解決策 (1)(2)
という構成でまとめた文書の添削を依頼されました。これも、読み手は飛び飛びに3カ所読まなくてはなりません。まず提案(1)について話を完結させ、それから提案(2)に移るほうが望ましいと思いました。

なお、このような要望や提言をまとめる際には、項目の立て方をなるべくシンプルにすべきです。多くは、「現状」と「改善案」の2つに整理することができます。それを、目的、現状、課題、原因、背景、提案、さらには概要、本文、所感などというさまざまな項目を立てて、複雑にしてしまっている例をしばしば見かけます。概念の整理ができていないと、そうなりがちです。