ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

恥をかかない「敬語」のルール

「お」をつけただけでは尊敬語にならない

敬語を身につけるには、一朝一夕にはいきません。その状況や立場によって使い分けなければならないからですが、ここでもう一つ尊敬語と謙譲語の取り違えの例をあげておきましょう。
尊敬語は、相手を尊敬して相手の物事や動作を高めて表す言葉です。
たとえば、ふつうの言い方で「見る」は、「ご覧になる」となります。
そして謙譲語は、自分がへりくだって低く表すことで敬意を示す言葉なので、「拝見させていただく」となります。
それなのに、何にでも「お」をつければいいと勘違いしている人がいます。
「お食べください」「お行きになりますか」とふつうの言い方に「お」をつけても尊敬語にはなりません。
よくある間違いとしては、ほかに「お飲みください」「おやりになりますか」「お知りですか」があります。
これらの言葉は「おあがりください」「なさいますか」「ご存知ですか」となります。
また、間違えやすい言葉として「先ほどおっしゃったこと」と言うべきところを、「先ほど申されたこと」と言う人がとても多いのです。
相手に言ったことに対して自分では敬意を含んだつもりでも、「先ほど申された」では謙譲語にも尊敬語にもなっていません。
敬語は意識して使って身体で覚えるしかありません。周囲にいる敬語が上手な人の言葉遣いをマネることからはじめてもいいでしょう。


白沢節子