ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

文章を「分かりやすく伝える」テクニック

開き直って言い切る
よく考えると、たとえロジックとしてはつながっていなくても、開き直って言い切り、断定してしまうことで、受け手側は「そうかな……」と思うものです。開き直って言い切ったフレーズは、力を持って人の心に刺さることが少なくありません。
次の例は、 1981年と古いですが、CMでとても話題になり、流行語にもなったフレーズです。

見本:芸術は爆発だ!

「芸術は爆発だ!」は、芸術家の岡本太郎氏がビデオカセットのCMで言い放ったセリフです。元々は、岡本太郎氏が「芸術は規則にしばられることなく、爆発するようなエネルギーが必要だ」という意味で語っていた言葉だったのを、CM用に短く言い切ったことで話題になり、その年の流行語大賞も取りました。

次の“見本”は、炭酸飲料のファンタオレンジのCMで使われたキャッチコピーです。

普通:オレンジの味に近づけました

見本:オレンジよりオレンジ味

ファンタオレンジは無果汁の炭酸飲料。いわば、オレンジは名前にあるだけで、まったくオレンジ果汁は入っていません。100%のオレンジジュースがあるにもかかわらず、そこを開き直って「オレンジよりオレンジ味」と言い切ったことで、強いメッセージになりました。

もう1例、『苺ましまろ』(ばらスィー著)という漫画の帯に使われたキャッチコピーです。

見本:かわいいは 正義!

漫画の帯につけられたキャッチフレーズで話題になるものは、意外に少ないものです。しかし、「かわいい」と「正義」という、論理的につながっていない言葉を、開き直って言い切ることでネット上の論争を巻き起こし、多くの人の心に残るコピーになったのです。

この章で見てきたように、「言い切る」「断言する」だけでも、強いコピーが生まれます。企画書・報告書・ブログ・ツイッターなどの文章、プレゼン・会議での発言では、できるだけあいまいな語尾をなくす習慣をつけましょう。

川上 徹也(湘南ストーリーブランディング研究所代表)