ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

文章を「分かりやすく伝える」テクニック

かかる時間を示す
何かを訴求したい場合、それにかかる時間を示すと、受け手は興味を持ちます。その効果が大きくて、手軽にできそうな時間であるなら、受け手はなおさらやってみたいと思います。このテクニックはとても効果があります。ただし、乱用すると安っぽかったり、怪しげに見えたりするので注意が必要です。
薬局の店頭に貼られた、文字のみのポスターを想像してください。

普通:痔の治療薬あります

改善:痔が3日で!

どうでしょう? “改善”は、実際に薬局で貼られていたものです。具体的な効果が書かれているわけではないのに、症状を抱えている方は、「3日でどうなるんだろう?」と興味を持つはずです。かかる時間が具体的に書いてあるからこその効果ですね。
ダイエット、ビジネススキルなど、読者が読んですぐに効果を期待する本でも、「かかる時間を具体的に書く」という手法がとてもよく使われています。
書店に行くと、時間単位はもちろん、分や秒単位のものまで数多く出版されていることがわかります。次に、いくつかその実例をあげておきます。

見本:・『「1秒!」で財務諸表を読む方法』(小宮一慶著)
・『3秒でハッピーになる名言セラピー』(ひすいこたろう著)
・『一日7秒で腹は凹む』(蓮水カノン著)
・『15秒骨盤均整ダイエット』(松岡博子著)
・『最初の30秒で相手をつかむ雑談術』(梶原しげる著)
・『1分で大切なことを伝える技術』(齋藤孝著)
・『3分でわかるロジカル・シンキングの基本』(大石哲之著)
・『誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方 66のルール』(野口敏著)
・『1年の目標を20分で達成する仕事術』(林正孝著)
・『「1日30分」を続けなさい!』(古市幸雄著)
・『60分間企業ダントツ化プロジェクト』(神田昌典著)
・『1日1時間1か月でシングルになれる』(江連忠著)
・『90分でわかる会社の仕組み』(八巻優悦著)
・『3時間で手に入れる最強の交渉術』(荘司雅彦著)

ネット書店「Amazon」で検索すると、「1秒で」という本だけでも、190件ヒットするくらい、「かかる時間を示す本」は出版されています(2010年6月現在。以下も同様)。秒単位のものなどは、大半はその数字に大した意味があるわけではなく、「一瞬でできる」という言葉の置き換えにすぎません。それでも、よく使われる数字と、まったく使われない数字があるのは興味深いところです。
秒単位で人気があるのは、「1秒」「3秒」「5秒」「7秒」「10秒」「15秒」「20秒」「30秒」「60秒」「90秒」です。1桁の場合は奇数が、10秒以降はキリがいい数字が好まれる傾向がわかります。ただし、「9秒」は1桁の奇数ですが、調べた範囲では使われていませんでした。1桁の秒数で他に使われていないのは「4秒」です。
分単位でもほぼ同様の傾向が見られました。ただし、分の場合は「45分」「50分」という時間も人気でした。これは学校での授業時間の長さと関係があるからでしょうか。
似たようなタイトルになるというリスクがあるにもかかわらず、「かかる時間を示した本」がたくさん出版されているのにはわけがあります。それは、やはり「売れる」からです。

「かかる時間を示す」というテクニックは、ブログやメルマガのタイトルでも使用すると効果があります。まず自分が書こうとしているテーマについて、かかる時間を考えてみます。
たとえば、あなたが「キャッチコピーのテクニック」について、ブログやメルマガを書くとします。
キャッチコピーは素早く人を引きつけるほうがいい、かかる時間はできるだけ短いほうがいい、という感覚を、次の“改善”のようなタイトルで表現してみてはどうでしょうか。

普通:人を引きつけるキャッチコピー術

改善:1秒で人の気持ちをグッとつかむキャッチコピー術

川上 徹也(湘南ストーリーブランディング研究所代表)