ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

文章を「分かりやすく伝える」テクニック

本音で言い切る
本音で言い切られると、心に刺さります。世の中に流れている情報のほとんどは、建て前や予定調和であったりするからです。
ドラマで、本音で言い切ったセリフが流行語になりました。

見本:同情するなら金をくれ

“見本”は、1994年に放送された『家なき子』で安達祐美演じる相沢すずが、担任の先生に向かって言い放ったセリフです。カワイイ女の子から、予定調和ではない本音のセリフが飛び出したからこそ、インパクトがありました。そして、このセリフは多くの人々の記憶に残りました(余談ですが、最初にこのセリフが出てくる第1話のタイトルは、「盗み嘘泣き放火!少女とノラ犬の愛の旅路!!」です)。

雑誌の見出しでも「本音」で言い切るとインパクトが出ます。

普通:「バブル世代上司」に言いたいこと

見本:大迷惑![バブル世代上司]よ会社を去れ!

“見本”は、雑誌『SPA!』(2010年3月2日号)の見出しにあったものです。何かというとバブル時代の昔話をして、それでいて使えない40代以上の上司に対して、現在の20~30代の社員が思っている本音をストレートに表わした見出しです。同じような思いを抱いている若手社員は、電車の中刷りでこの見出しを見ると、自然と興味がわくのではないでしょうか。

以下の2つの“見本”の見出しは、雑誌『AERA』にあったものです。

普通:妻の出世はうれしいけど

見本:妻の「出世」を喜べない(2009年12月21日号)

普通:夫より子どもが心配

見本:夫より子のおちんちん(2010年3月29日号)

どちらも読者(予備軍)が心の底で思っている気持ちを、うまくあぶり出し、言葉にした見出しです。電車の中刷りや新聞広告でこの見出しを見て、「これは自分の本音と一緒だ!」とドキッとした人も多いはずです。『AERA』の見出しは、このような時代の空気感をうまく切り取ったものが多いですね。
本音で言い切ると、同じように感じていた受け手がそれに共鳴してくれる可能性が高くなります。

川上 徹也(湘南ストーリーブランディング研究所代表)