ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

文章を「分かりやすく伝える」テクニック

得になること、効果を入れる
あなたが商品を買う立場になった場合、どれくらい「得になるのか」「効果があるのか」ということは、最大の関心事でしょう。逆に、あなたが売り手側であれば、商品を買うことで得られるメリットや効果をいかに伝えるかによって、売上は大きく変わってきます。
ただし、発信する側に信頼性がないときに、あまり大きな効果をうたいすぎると逆効果になるのです。「あやしい?」と思われるだけで、反応が悪くなるのです。また、商品のジャンルによっては、法律によりストレートに効果をうたえないので注意しましょう。
この手法を学ぶには、通信販売のカタログのコピーなどが参考になります。

普通:吸収力のよさがポイント(のバスマット)

見本:大勢が入浴して濡れた足で踏まれたあともさらさらの感触

普通:腰に無理な負担がかからないように設計した座椅子

見本:「長時間座りづめでも腰が疲れにくい」と、腰痛持ちから10年以上も支持され続けている座椅子

“見本”はいずれも『通販生活』のホームページにあった商品説明のコピーです。商品自体の機能よりも、購入する側のメリットを強調していることがわかるでしょう。こんなふうに、受け手の具体的なメリットが書かれてあると、「あ、これは自分に関係がある!」と思ってもらえる可能性が高くなるのです。

アメリカの広告会社BBDO社で、伝説的なコピーライターと言われたジョン・ケープルズは、著書『ザ・コピーライティング』で、「売上を上げるために効果的な訴求ポイント」として以下のような要素を上げています。
・収入を増やす
・お金を節約する
・老後の安心
・もっと健康に
・仕事やビジネスで成功する
・名声
・脂肪を減らす
・家事をもっと楽に
・心配から解放される
あなたが商品を「売りたい」と思うとき、上記のようなメリットを買い手に与えられるかどうか考えてみましょう。そのためには、まず買い手の立場に立ってみることです。きっと今までのやり方とは効果が違ってくるはずです。

プレゼンされる立場になれば、「その企画を実施したらどんな得があるのか?」「どんな効果があるのか?」ということに、一番興味を持っているはずです。それなら、そのメリットや効果が感じられるタイトルにしたほうが、興味を持ってもらいやすいのは明らかです。
ふだんの仕事においても、同じことが言えます。とくに企画書や提案書では、相手の「得になること」を示すように心がけましょう。

以下は、ある店に売上を増やす方法についてプレゼンするときの提案書のタイトルの例です。

普通:販売促進のためのご提案

改善:あなたの店の売上が1カ月後に30%増える画期的な方法とは?

“改善”のようにすると、受け手側にとってメリットが感じやすいので、より真剣に耳を傾けてくれるでしょう。
社内で何か企画を通そうとするときも同様です。企画が実現したら、会社にどれだけのメリットがあるかをわかりやすく訴えるタイトルや見出しにすると、検討してもらえる可能性が高くなります。

川上 徹也(湘南ストーリーブランディング研究所代表)