ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

文章を「分かりやすく伝える」テクニック

列挙する
訴えたいことを、形を変えて列挙していくと、受け手の頭により入りやすく、心に残りやすくなります。このテクニックは、とくに演説やスピーチなど、「話し言葉」で使うと効果的です。
では、わかりやすい典型的な例から見てみましょう。

普通:人民のための政治を実現します

見本:人民の、人民による、人民のための政治

ご存じの通り、リンカーンのゲスティバーグ演説にある有名なフレーズです(誤訳だという説もあるようですが)。もし、これが“普通”のようなフレーズであれば、後世に伝わることはなかったかもしれません。たたみかけるように言葉を列挙していくことで、心に残るフレーズになりました。
また、リンカーンの演説手法の影響を深く受けているオバマ大統領の演説でも、この列挙するテクニックは数多く使われています。

普通:アメリカは人種を超えてひとつです

見本:黒人のアメリカも白人のアメリカもラテン系アメリカもアジア系アメリカもない。あるのはアメリカ合衆国だけです

雑誌の見出しでも、列挙するパターンをよく見かけます。以下はいずれも女性誌『anan』にあった見出しです。

見本:・スーツ姿も、メガネ顔も、チーム男子も…ぜんぶ好き! 胸キュン男子122files
・あっさり塩顔、U-165、ビルの窓拭き……  萌えポイント35を大発表!
・寝坊、泣いちゃった、急なデート…、 困ったときの緊急メイク術大公開!!

列挙することで、「これ、私にもあてはまる!」というポイントが増えて、読者に興味を持ってもらえる可能性が高くなるのです。

次に、これでもかというほど、列挙することで言葉の力を高めている例を紹介します。

見本:巻きおろし党♥ちらし党♥ボブ党♥ストレー党♥外ハネ党♥おくれげ残し党♥
今の日本にあるのはこの6党!

これは『小悪魔ageha』(ギャル系ヘアメイク&ファッション雑誌。2010年11月号)の表紙のキャッチコピーです。彼女たちの間で流行中の髪形を6つも列挙しながら、最後に「今の日本にあるのはこの6党!」と断定してしまうことで、とてもインパクトのあるコピーになっています。

川上 徹也(湘南ストーリーブランディング研究所代表)