ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

文章を「分かりやすく伝える」テクニック

具体的な数字を入れる
何かを伝えようとするとき、具体的な数字を入れると説得力が増します。「数字が物語る」なんて言葉もあるくらいですから、数字を入れるだけでドラマが生まれるのです。
まず、次の例を見てください。

普通:栄養豊富なお菓子です

見本:一粒300メートル

これは、昔からあるグリコ(キャラメル)の有名なキャッチコピーです。グリコのホームページには、「グリコ一粒に、体重55キロの人が300メートル走るときに消費するエネルギーが含まれている」ことが由来だと書かれています。しかし実際は、「説明はあとづけで、最初は語呂を重視してつくった」と言われています。
とくに、食糧事情がよくなかった時代には、「栄養のあるお菓子」ということを訴求するのに、300メートルという数字はとても説得力がありました。

次のコピーの例も、具体的な数字を入れることで、印象を強くしています。

普通:安くて手軽なドリップコーヒー

見本:コーヒー1杯19円

コーヒー通販会社・ブルックスコーヒーの広告コピーです。「1杯19円」というのは、外でコーヒーを飲む値段からすると、インパクトがあります。1袋ではなく、1杯の値段を数字に置き換えたことによって、その安さを際立たせることに成功しています。

雑誌の見出しでも数字を用いる手法は効果的です。

普通:中国の食糧事情を探る

見本:13億人の胃袋最前線をゆく

“見本”は『AERA』(2010年2月15日号)の見出しです。「13億人」という具体的な数字を出すことによって、切迫感のある見出しになっています。「胃袋最前線」という強い言葉も相まって、「ぜひ記事を読んでみたい」と思わせることに成功していますね。

映画のポスターで、数字をうまく使ったものも紹介しましょう。

普通:ご夫婦で観てください

見本:妻の共感度98%、夫の反省度95%

2009年に公開された映画『60歳のラブレター』のキャッチコピーです。数字の使い方が実にうまいですね。

セールスレターなどの場合でも、次の2つのように、細かい数字を提示すると信頼が高まります。

普通:この商品を買った多くの方が役に立ったと言ってくれています

改善:この商品を買った方の91.3%が役に立ったと言ってくれています

普通:今までに300人以上の方にご利用いただきました

改善:今までに327人の方に利用いただきました

いずれも“改善”のほうが、リアルな数字だと受け手に感じてもらえることがわかるでしょう。

このように具体的な数字を打ち出すことは、企画書、プレゼンテーション、報告書など、仕事のあらゆる場面で有効な手法です。
あなたが就職や転職するときなどのプロフィールでも、実績をできるだけ具体的な数字であげると、印象に残りやすくなります。もし、書くべき数字が見あたらないのであれば、今後「数字をつくること」を意識してみてください。

川上 徹也(湘南ストーリーブランディング研究所代表)