ポイント解説

時間外勤務手当条項

(固定残業手当)
「固定残業手当」とは、毎月決まった金額を見込みの残業手当として支払うもので、例えば実際の時間外労働が当該金額に満たない場合であっても、当該金額を支払うというものです。固定残業手当導入のメリットとして、給与計算事務の効率化や従業員の生産性向上などが挙げられます。

本規程例では、「固定残業手当」という名称を用いていますが、その他にも「固定残業代」、「役職手当」、「営業手当」等、用いる名称は各社様々です。しかしながら、例えば役職手当等に固定残業代を含める場合は、役職手当の中に役職相当分と固定残業相当分がそれぞれいくら含まれているのかを明記しておく必要があります。内訳を明確にすることで、昨今、厳格化傾向にある管理監督者性の判断に係る労使トラブルを防ぐことができます。

(時間外労働手当B 法定割増賃金率)労働基準法は法定割増賃金率である25%を超える率とすることを努力義務としています。

(時間外労働手当C 法定割増賃金率)2023年4月1日より月60時間を超える時間外労働に対し50%以上の割増賃金の支払いが義務付けられました。1ヶ月の時間外労働時間数が恒常的に60時間を超えている労働者には、業務の効率化や生産性を意識するよう促すことが必要でしょう。

(第2項)法に定める限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金を引き上げること等で、限度時間を超える時間外労働を抑制しています。

(第3項)割増賃金を算定する際に除外できる賃金とは、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金をいいます。(労働基準法第37条第5項、労働基準法施行規則第21条)なお、2024年6月5日の基発により、在宅勤務手当が事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されると整理される場合には、賃金に該当せず、割増賃金への算入は不要と示しました。