ポイント解説

賃金規程

賃金規程は、就業規則本則の条文に「賃金に関すること」として定めることも可能です。本規程のように別に定める場合は、本則とともに所轄労働基準監督署への届出が必要です。

第2条(賃金の構成)
自社の実態に応じて記載してください。

第4条(賃金の支払方法)
(第3項第六号)社宅・寮その他の福利厚生施設の費用や組合費などを賃金から控除する時は、労働者代表との書面による協定が必要です。(労働基準法第24条第1項)

第6条(欠勤の場合の賃金計算)
その月の所定労働日数が月平均所定労働日数を上回る月の場合で欠勤控除が発生しない等の不具合を改善するために、本規程のように計算式を2通りに分けるのが望ましいです。

第14条(皆勤手当)
皆勤手当の他、精勤手当として、欠勤や早退の回数によって支給する金額を段階的に設定することもあります(例:無欠勤の場合月額10,000円、欠勤1日以内の場合5,000円)。

第16条(通勤手当)
通勤手当の上限を所得税法の非課税の範囲内(上限150,000円)とすることもできます。(所得税法第9条第1項の5、所得税法施行令第20条の2)

第17条(割増賃金)
所定労働時間を超え、法定労働時間に達するまでの所定時間外労働手当については、通常労働したものと同様の単価で所定労働時間外手当を支給することもできます(例:所定労働時間が9:00から17:30までで、18:30まで残業した場合は、18:00までの30分は通常の賃金と同様の単価とし、残りの30分を通常の賃金の1.25倍の単価で計算します)。

(時間外労働手当B)1か月に45時間を超えて時間外労働を行う場合には、あらかじめ労使で特別条項付きの時間外労働協定を締結しなければなりません。その際、協定では月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を、法定割増賃金率(25%)を超える率で定めるよう努めなければなりません。

(時間外労働手当C)2023年4月1日より1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は50%になりました。ここでは、1か月60時間を超える時間外労働に対して割増賃金を支払う代わりに有給休暇を与える制度(代替休暇)については省略しています。企業判断で代替休暇制度の導入する場合は労使協定が必要です。

(第2項)割増賃金の算定基礎から除外することができる賃金には、家族手当や通勤手当のほか、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金があります(労基法第37条第5項、同法施行規則第21条)が、これらの手当を除外するに当たっては、単に名称によるのでなく、その実態によって判断しなければなりません。なお、2024年6月5日の基発により、在宅勤務手当が事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されると整理される場合には、賃金に該当せず、割増賃金への算入は不要と示しました。

第18条(賞与)
(第2項)賞与の支給対象者を一定の日に在籍した者とする規定を設けることで、期間の途中退職者等、支給日に在籍しない者には支給しないことになります。