ポイント解説

仮登記担保設定契約書


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・「仮登記担保契約に関する法律」は、昭和54年4月1日に施行された。

(第1条)
仮登記担保の第1の要件は、被担保債権(仮登記担保によって担保される債権)の存在である。担保される債権の内容を明確にすることが重要。

(第2条)
仮登記担保には、代物弁済予約によるもの(設例)と、停止条件付代物弁済によるものとがある。
「仮登記担保契約に関する法律」が施行される前は、抵当権、代物弁済仮登記、賃借権設定請求権仮登記を併用して、債権確保をはかることが多かったが、施行後は、仮登記担保の実行に制約が加えられたため、代物弁済仮登記とこれにともなう賃借権設定の併用は少なくなった。
目的不動産の特定、代物弁済予約(停止条件付代物弁済)の合意、仮登記が、仮登記担保のおもな内容である。

(第4条)
法定の期限の利益喪失事由は、破産宣告、担保の毀滅(壊しなくすこと)または減少、担保供与義務の不履行(民法第137条)である。法定の期限の利益喪失事由に約定の喪失事由を追加することと、当然に期限の利益を失うとする点に特約の意味がある。

(第5条)
「仮登記担保契約に関する法律」によって、仮登記担保権の実行について、清算金の見積額等を通知しなければならないこと、この通知到達後2か月を経過しなければ所有権移転の効力が生じないこと(第2条)、清算金の支払いと所有権移転登記・引渡しが同時履行となること(第3条)などが定められた。
なお、他の債権者から仮登記担保の目的となっている不動産について強制競売を申し立てられたときなどは、仮登記担保権は抵当権とみなされ、優先弁済を受けることができるにすぎない(第13条)。