ポイント解説

譲渡担保設定契約書


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(第1条)
譲渡担保の第1の要件は、被担保債権(譲渡担保によって担保される債権)の存在。担保される債権の内容を明確にする。

(第2条)
譲渡担保は、債権担保のために物の所有権を移転し、債権が弁済された後、その所有権を戻す形態の担保。譲渡担保の目的物が動産の場合、所有権の取得の対抗要件として必要な引渡し(民法第178条)は、占有改定(意思表示だけで占有権が観念的に譲渡されたと認められること。民法第183条)の方法で行ない、譲渡担保設定者にそのまま使用の継続を認めるのが通例。
目的物を明確にし、担保目的による所有権の移転と引渡しを明確にする。

(第3条)
譲渡担保権設定者にそのまま使用の継続を認める場合、使用貸借か賃貸借とする。公租公課等の負担も明確にしておく。

(第4条)
譲渡担保権設定者が担保権設定後も目的物を管理・使用することから、その処分を禁止するとともに善管注意義務(民法第400条)を負うことを確認。他方、譲渡担保権者が所有権を任意に処分することを禁止しておく。

(第5条)
譲渡担保目的物の担保権者の調査等に関する紛争を予防。

(第6条)
法定の期限の利益喪失事由は、破産宣告、担保の毀滅(壊しなくすこと)または減少、担保供与義務の不履行(民法第137条)。法定の期限の利益喪失事由に約定の喪失事由を追加することと、当然に期限の利益を失うとする点に特約の意味がある。
譲渡担保は、債務の弁済がなされない場合に、譲渡担保目的物を譲渡担保権者が処分をして、その代金で債権の確保をはかるもの。譲渡担保権者が処分をするには、現実の引渡しが必要。

(第7条)
譲渡担保権者が譲渡担保目的物の現実の引渡しを受け、これを任意に処分して、その代金で債務の弁済に充当することが、譲渡担保の最終目的。必ず記載すること。

(第8条)
被担保債権の弁済がなされれば、債権担保の必要もなくなる。所有権の移転(復帰)を確認しておく。

(第9条)
担保権設定の公示方法が明確でない譲渡担保においては、担保権設定を明らかにしておくため、公正証書にしておくことが望ましい。
強制執行認諾文言付の公正証書がある場合には、裁判をすることなく差押えなどの強制執行ができる。