ポイント解説

期限付建物賃貸借契約書1


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(第1条)
更新をしない期限付の建物賃貸借契約が認められるのは、次の場合だけである。
(イ)転勤・療養・親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物を一定の期間自己の生活の本拠として使用することが困難であり、かつ、その期間の経過後はその本拠として使用することとなることが明らかな場合に、その一定の期間を確定して建物の賃貸借の期間とする場合
(ロ)法令または契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物を取り壊すこととなるときに賃貸借が終了すると定める場合
これらやむを得ない事情や建物を取り壊すべき事由を記載した書面で契約することが必要である(借地借家法第38条・第39条)。

(第2条)
賃貸借期間を明確にし、更新のないことを確認しておく。

(第4条)
賃料は、特約がなければ後払いとなる(民法第614条)。それ以外は、金額、支払時期、支払方法を明確にすること。

(第5条)
敷金を受領する場合、金額、利息、償却・返還方法について明確にしておく。

(第6条・第7条)
特約がなければ目的建物の修繕義務は賃貸人にある(民法第606条)わけだが、設例のような場合も含めて、予想される費用の負担分担は、あらかじめ明らかにしておく方がトラブルを防げる。

(第8条)
事前の書面による承諾を要する点は、特約として盛り込む必要がある。

(第9条)
特約がなければ、解除をする場合には催告をしなくてはならない(民法第541条)。

(第11条)
造作買取請求権をあらかじめ放棄する特約は有効(借地借家法第33条・第37条)。
また、残置物の取扱いは定めておくとよい。

(第12条)
契約終了後の使用損害金は、特約がなければ最終賃料が基準となる。

(第14条)
公正証書にすることが有効要件とはされていないが、期限付建物賃貸借は、公正証書としておいた方がよい。なお、公正証書によって強制執行できるのは、金銭債権のみ。
強制執行認諾文言。