ポイント解説

店舗賃貸借契約書(譲渡権利付)


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・建物の無断譲渡・転貸は禁止されているが(民法第612条)、これを特約によって認めることはできる。たとえば、店舗の賃貸借において、権利金の支払いを受けるのと引換えに、譲渡・転貸を認めることがある。

(第1条)
賃貸目的物が建物の一部であるときは、賃貸部分が明確になるよう具体的に記載し、必要に応じて図面等を添付する。

(第3条)
譲渡権利付の賃貸借期間は、ほかより長く設定される場合が多い。最長は20年とされている(民法第604条)。

(第4条)
譲渡権利付賃貸借契約は、一般に長期間継続することを予定して交わす契約である。そのため賃貸借期間を短く定めたときは、更新することを予定していると考えるべきである。
更新料は、特約がなければ請求できないので貸主側は注意が必要である。

(第5条)
賃料の額、支払期日・場所・方法を明確にする。賃料は、特約がなければ後払いとなる(民法第614条)。
契約期間中の増減請求は、法律で定められているが(借地借家法第32条)、確認しておくとよい。

(第6条)
共益費、管理費等を定めたときは、金額、支払期日・場所・方法を明確にしておく。通常は床面積などを基準に一定の負担額を定めることが多い。

(第7条)
店舗の賃貸借では、保証金の預託がなされることが多い。
保証金を定めたときは、金額、利息の有無、償却の方法、返還時期などについて明確にしておかないと後でトラブルの元になる。

(第8条)
予想される費用等の負担については、できるだけ具体的に規定しておく。

(第9条)
賃借権の譲渡・転貸に関する特約。賃借権の譲渡には、保証金返還請求権の譲渡を含むことを明記する。
賃借権の譲渡・転貸を認める場合、使用目的の変更、店舗の内装変更・造作を認めるのが一般的。これが認められないと、譲受人・転借人を探すのが困難となるため。造作等に別の所有権が生じないことを確認しておくとよい。

(第10条)
賃借権の譲渡・転貸を認める場合、通常、その対価たる権利金を支払うことになる。

(第11条)
解除事由は明確にしておく。
なお、催告をせずに解除できるとするには特約が必要である(民法第541条)。

(第12条)
明渡しの条件・方法について明確にしておく。
造作買取請求権をあらかじめ放棄する特約は有効である(借地借家法第33条・第37条)。
残置物の取扱いも定めておく。

(第13条)
賃貸借終了後の使用損害金は、特約がなければ最終賃料が基準となる。

(第14条)
公正証書によって強制執行ができるのは、賃料等の金銭債権だけで、明渡し等の強制執行をするには、判決等が必要になる。
強制執行認諾文言。